2011年11月27日日曜日

マイケルクイントン写真研究 -part 5-



マイケルクイントンはナショナルジオグラフィックの契約カメラマン。24のとき、より動物写真をとるチャンスを増やすために、アイダホ州からアラスカ州へと移住したという。

左の写真はマイケルの初期の頃の仕事で、ハシボソキツツキ(Northern Flicher)の飛行をとらえた写真である。ナショナルジオグラフィックから選出される写真すべてに言えることだが、この写真のすごさは、動物自然写真の、基本的な追求すべき要素である、Sense of Wonder (驚異の感覚)を確実にとらえていること。見事にこの鳥の、普段見られない内側の羽を暴露している。

マイケルクイントンはまず間違いなく、この飛行の写真をリモコンかセンサーで撮影している。この撮影場所は、自宅のすぐそばであるという記述があるので、この鳥の行動を予測した上でセッティングしたことは間違いない。彼の中には、すでに出来上がりの構図があり、何を表現するかを見越した上で撮影を実行した。

ナショジオに掲載された、バリエーションカットはこちら


ハシボソキツツキの外見は左の写真のように、地味だ。
動物写真をとらえる上で、ひとつテーマとなるものに、「既成概念を覆す」というのがある。これを示すことで、対象のキャラクターの新しい局面を伝え、人のその動物への見方を変える。

2011年11月23日水曜日

記事から抜粋

 Having something to say
何かいいたいことを加えるということ —クリス・ウェストン
Magazine text is on the bottom of this article.
(以下、日本語翻訳文)


プロでやっている人の話を聞くと、'making images' イメージをつくる、という言葉をよく耳にする。「イメージをつくる」ということと、'taking images'「イメージを撮る」ということの違いは、たった一語の違い以上に大きなちがいがある。そして、このイメージをつくるというアプローチこそが、トップの写真家とその他大勢を区別することになる。まず、何かいいたいことをもつ写真家、ということを頭に入れておこう。


わたしが野生動物の撮影をはじめたのは、動物の行動に魅かれたからだ。私は、なぜ自然のなかの摂理はそのような仕組みをとるのか、という疑問を抱いた。よく思ったことは、「なぜシマウマは、黄色い草原に覆われたサバンナのなかで、シロクロの縞模様なのか」という疑問である。その答えを学ぶとすぐに、わたしはそれを視覚で伝えるためにカメラをもちいた。これは、わたしが写真で何を「言いたい」のか、というきまった考えを頭にいれて、撮影対象にアプローチしたことを意味する。そして、この目的のために、わたしは自分の、自由に使える機材と、画面構成の技術をつかった。カメラを持つずっと前から、このイメージに対するながいキャプションを書いていた。まず、座ってキャプションを取りあげ、どのようにこのキャプションに合ったイメージをつくることができるだろうかと考えるのである。わたしはいまだにこの方法をつかう。たとえば、わたしがフィールドにいたとして、シャッターを押す前に、主題に直面してまよっていたら、「このショットにはどのようなキャプションをつけることができるだろうか?」と考える。動物の種の名前しか思い浮かばなかったら、よりよいシャッターチャンスを待つ。


何をいいたいのかということを知ることは、結局自分の主題を理解することになる。野生動物について学べば学ぶほど、よりアイデアをもてるようになるのだ。わたしはこの知恵をフィールドワーク、本、ドキュメンタリーなどから得るようにしている。主題のことについて知ることは、野生動物写真だけにあてはまるものではない。どのジャンルにおいてもトップの写真家は、対象についての親密な知識を備えている。
(雑誌、Outdoor PHOTOGRAPHY 2010年10月号より)



2011年11月19日土曜日

動物写真家、浅尾省五さん

先週、動物写真家の浅尾省五さんに会った。

浅尾さんは、日本の自然写真の歴史でいえば、第三世代にあたる方。岩合光昭さん、今森光彦さんや、星野道夫さんと同じ世代にあたる。また、浅尾さんは日本の動物写真の本流を築いた、田中光常さんの弟子を経験されている。浅尾さんは70年代に上京されてから、仕事上で田中光常さんと知り合い、2年間、彼のもとでアシスタントを務められた。その後は、交代で星野さんがアシスタントについている。星野さんの次の、前川貴行さんをふくめた3名ともが、同じことを述べていることは参考になる。

「田中光常さんのもとで働いた2年間は、ほとんど写真を撮ることができなかった。しかし、動物写真家がどういうものかを学んだ」


有楽町で浅尾さんと待ち合わせをしてカフェに入った。

現在浅尾さんは、一年の半分を海外での撮影に費やし、50代後半にして現役で世界を飛び回っている。しかし、このように写真の仕事だけでやって行けるようになったのは、10年前の2000年頃からとのこと。動物写真家の内山晟さんもおっしゃって「写真でやっていくのが、どれほど大変か」

浅尾さんは、田中光常さんのアシスタントを務められた後の20代後半から、アフリカで2年間写真を撮り続けるも、独立して継続していくことが大変で、その後は一般企業に就職し、二足のわらじで続ける道を選んだという。

「とにかく、継続して撮影できなくなったら終わり。」
確信した表情で語る。


浅尾さんからのアドバイスとしては、

「誰もやっていないことをやること」
「対象となる動物がいるところへ、できることなら住むこと」
「なにはともあれ、写真で勝負すること」

他にもホームページや雑誌の投稿についてもお話をもらったが、原田純夫さんのアドバイスと、かなり近い意見が多かったということも、とても参考になった。


浅尾さんとは今後、仕事を一緒にやれる機会をつくれるよう進めている。

2011年10月25日火曜日

レンズレンタル


いままでレンズをレンタルして撮影行へ出かけるという考えが頭になかった。対象の動物が捕れるか撮れないかがわからない場合は、まず現場に下見をしにいき、撮影できることが確実になって来たら、レンズをレンタルして出かける、という考えが浮かんだ。
現在僕の持っている望遠はNikonの80−400mmで、ボディの画像素子がAPS-Cなので最長600mmで撮影を続けて来たことになる。しかし、この望遠レンズはインナーフォーカスではなく、開放もF5.6と暗い。

日本にもたくさんのレンタルショップがあり、相場は米国と同じくらい。
レンタルを考えたときにたとえば70ー200mm(F2.8)であれば1泊2日で5200円
実際の値段が18万円くらいするので4、5回のレンタルは十分価値があると思う。

現在考えているのは実売価格50万円くらいする単焦点の300mm(AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II米国の有名なサイト(下図)で見積もると、実使用日数4日で送料込み2万円くらい。どうしてもこのレンズでなければだめな対象がある。これを4、5回の撮影で試してみたい。



2011年10月14日金曜日

アイルロイヤル島へのアプローチ(メモ)

島に棲むオオカミということで特異的な個体群が、米国ミシガン州の五大湖に浮かぶ島、アイルロイヤル島というところに生息している。島の大きさは佐渡島より少し小さい程度。島嶼地域は環境資源が限られており、大陸に比べて脆弱な生態系をもっている。ここの生態は日本では話題にならないためあまり知られていないが、18種の哺乳類が棲んでいるとされているもののクマのいない島で、オオカミとムースが食う食われるの関係にあるとてもシンプルな生態系で有名である。

(アイルロイヤル島について 日本語ページ)

アイルロイヤル島の位置


アイルロイヤル島国立公園


国立公園は4月16日から11月1日まで開いており、冬はオオカミをメインとして動植物を保護する理由と、この島の気候の厳しさのため閉鎖される。ビジターセンターは島の西側のウィンディゴセンターとロックハーバーセンターがある。他に、島に入る前のミシガン側本土にホートンビジターセンターもある。それぞれ時期によって営業時間が異なるので注意が必要。9月半ばにはほとんどが閉鎖。冬の間は管理オフィスがホートンで開いており、訪れることができる。
(ビジターセンター詳細ページ)

入園料:
アイルロイヤル島国立公園へ入園する場合、入園料として一日$4を支払う必要がある。
(入園料について)

島への入り方:
まずは主要な港までは車かバスを使ってたどり着く必要がある。ミシガン側であれば、ホートンという港町。ミネソタ側であればグランドポーテージ。港からはそれぞれ船や飛行機がでているが、スケジュール的に複雑なので、島へ上陸する場合は緻密に計画を立てる必要がありそうでだ。

ミネソタ側からのアプローチ

ボヤージャーⅡ(ボート)
この船はミネソタのグランドポーテージという岬から出ている。
5月7日から10月2日まで金曜日以外運行している。シーズン中でも時期によって時間と寄港する場所が違うので注意。

ミシガン側からのアプローチ

レンジャーⅢ(ボート)
この船は国立公園局が運営する。ミシガンのホートンという川辺から運行している。
5月31日から10月11日までで3〜4日に一便がシーズン中運航している。岬からロイヤル島までは5時間。

アイルロイヤルライン(ボート)
この船はカッパーミシガンという岬から定期便が運行している。込み具合により運行する曜日が異なるので注意が必要。シカゴから車で8時間強。岬からロイヤル島までは2時間。
ピークシーズンである7月15日から8月15日までは大人往復$130
以降9月30日までは$114
車で行く場合、岬に一日$5で駐車しておくことができる。
(2011年現在)

ロイヤルエアー(フライト)
飛行機もシーズン中は利用可能。この航空会社はミシガンのホートンにあり、毎年5月中旬〜9月中旬まで運行している。
予約が必須。ロイヤル島までは往復一人$290

2011年10月3日月曜日

マイケルクイントン研究 -part 4-




この写真の主題は静寂、対象が湖面にいる白鳥と考えられる。

基本撮影データ予測:1/125 f/4 ISO50 200mm PLフィルター使用

白鳥を対象とした写真は以前にも考察したが、この水面に漂っている白鳥は同じ白鳥であってもイメージが異なる。白鳥が湖面を動くスピードは緩やかで静かである。この曇りの日の薄く淡い光が主題にマッチしていることで写真全体が統一されている。無駄なものがない写真である。また、白鳥が2羽であることも重要で、もし一羽だった場合、表現は「孤独」が加わり、やや暗い印象の「孤独な静寂」という写真に仕上がる。2羽いることが静寂を「平和な静寂」となるようサポートしているようだ。

技術的なことを言えば、この背景に体の真っ白な白鳥の適正露出を得るためには、測光方式を中央部重点にしていても2段は落とす必要がある。おそらくクイントンは白鳥の向かう方向を予想して、白鳥が目的のポイント(この写真の位置)に来る前に何度か試し撮りをして適正露出を得たに違いない。チャンスを直前に予測し準備した写真。

グラントカリブー


これは僕がデナリ国立公園のワンダーレイク滞在中に見つけたカリブー。もう一頭仲間がついて来ていて2頭で行動中だった。世界中には色んな種類のカリブーがいるが、これはグラントカリブーというカリブーの仲間。デナリではたびたびカリブーを見かけていたが、追いかけたことはなかった。今回はできるだけ気付かれないように後を追ったが、彼らは林を抜けて川縁にさしかかったときにとくに神経質だった。耳をピンと立てて周りを常に気にしながら歩き、ときに立ち止まり後ろを振り返ったりあたりをキョロキョロした。そのあと僕の存在に気付き一目散に反対方向に走っていったが、川の対岸にあるスプルースの森に近づいたところで落ち着いた。カリブーは森の中へ入っていく者ではないと思っていたが、このときカリブーもやはり逃げるときは森を使うのだと気付いた。

2011年9月24日土曜日

ハクトウワシ

アラスカの夏は太陽の光が一日中ふりそそぎ、植物から動物まで、生き物のサイクルが急進する時期。植物であればこの時期の100日間しか成長することはできず、動物であれば外界の場合この時期に子育てをするケースが多い。町から少し外に出てどこかに腰をかけていれば30分もしないうちに自然が大忙しで、この時機を逃さんとばかりに動いていることが見て取れる。

場所はアンカレッジから車で南に2時間半のスワードという港町。中央アラスカでいえば最南端の漁業で有名な町。日本からの暖流が流れてることもあり、アラスカにしては比較的暖かい地域でもある。ここに5月中旬から沿岸部を中心に松の木に営巣しているハクトウワシを見ることができる。この時期に限らず年間を通してこの地域にいる定住性のハクトウワシもいれば、冬の間餌を求めて南東アラスカまで移動する移住性のものもいる。


5月30日、アラスカでのハクトウワシの産卵はアメリカ本土の個体に比べて長ければ一ヶ月も遅い。この大きな巣を持った夫婦は母親がずっと抱卵していた。もちろん僕の存在は彼らの視覚によってずっと捉えられている。刺激を与えないよう動かずに観察。

6月19日
はっきりとした灰色の和毛のヒナ。卵からかえって2週間たたないくらい。3羽は母親が健康であり、巣も十分な大きさであるという証拠でもある。このころの親の緊張感がピークだったように思う。また30分に一度は巣へ餌を持ち帰り、子どもたちはそれを驚く程の食欲で体に取り込んでいった。


7月20日
子どもが大きくなればなるほど頻繁に餌を巣に持ち込まなくてはならず、両親ともに交互に狩りに出かけるとはいえ、巣を空ける時間は長くなる。子どもたちは自ら巣立ちを早めようと自分の産毛をちぎり取り、風が吹けば羽ばたきの練習を繰り返す。3羽とも均等に成長していったのは親の狩りの熟練度が高いこと、また子育ての経験が豊富であることのあらわれである。それに限らず、今年は少し時期が遅れたものの例年より多くのサーモンが遡上して来たことから、海からとれるエサの量も十分であったに違いない。

動物写真家、原田純夫さん



アラスカ州デナリ国立公園でツアーの仕事がシーズンを終え、自分なりに撮りたい撮影地を日本から来た友達と回り、一息ついた。この期間中に自分の写真の道を大きく変えうる出来事がいくつか起こった。これは良い方向になるとか、悪い方向になるという話ではなく、これらのことに対して自分がどのように対応するかということにかかっている。

その中でも特に影響の大きかったことは、動物写真家の原田純夫さんとの出会いである。国立公園で、おしゃべりをしながら、写真を撮りながら一日一緒にまわった。原田さんは舞台を日本にとどめず、北米を拠点に現役で仕事をされている。この点では僕と同じ構想をもっていた人。

その氏からの

「日本で一番って、井の中の蛙」

「動物をテーマにアラスカといっても、アラスカは人が決めたボーダーだけれど」

「あなたは将来的に何かひとつテーマを持った方がいい」


これら3つの言葉で、原田さんの動物写真に対する考え方がわかる。そして僕は刺激され、動物写真家に対する考え方が深まった。そして、それが何たるかが少し見えて来た。


原田さんと話をしてから7日が経つ。

まずテーマはその撮影行の都度持っていればいいのではないのか、一生のスパンでのテーマは必要なものなのか、とテーマを持つことへ疑うことから考え始めたが、やはり必要なことだと結論づけた。それは自分の写真のスタイルを確立するためであり、自分にしかできない本当のプロフェッションを見いだすためである。

いまだに自分の生涯のテーマについて考えているが、だいぶ構想は固まって来た。それをいつか自然に出てくるからと言って蔑ろにするのではなく、主体的に押し進めていく必要性をいま強く感じている。この先多くの制約の中で活動を進めていかなくてはならないが、その制約の中にこそヒントはあるものだとして、まずはテーマのはっきりしたプロジェクトを実行してみる。


2011年9月23日金曜日

スシトナ川からのアラスカ山脈


北米最高峰マッキンレー(6194m)を擁するアラスカ山脈
アラスカ中央部を東西に走るアラスカ山脈は太平洋プレートの北への動きでできた山脈。これが途中噴火したり、氷河によって山肌をゆっくり削り取られたりしたことで今現在の地形となっている。それくらい長期間での時間の流れを考えた時、この山脈すらも一時的な形に過ぎないことを思うと、モノそれぞれに相対的に時間は関係していて、山の時間、氷河の時間、木々の時間、リスの時間、ヒトの時間があって、それらは別々に存在はするものの、それぞれが主観的にしか捉えることができないという世界の違いを想像してしまう。こういう風景を見ていると、木から見れば人はあまりにも早く動き回っていて一生を閉じているんだという見方が少しだけ認識できるようになる。

ハヤブサ

Peregrine falcon breeding
北極圏で見たハヤブサの子育て。彼らを含む多くの猛禽類は北極圏の短い夏のうちに子どもを大急ぎで育て上げなければならない。冬の寒さが到来する前に子どもたちが飛べるよう成長できなければその場で力つきてしまうからだ。

そんな忙しい母親の邪魔はしたくなかったので、極力刺激を与えないようゆっくり動き、地味な服装で近づいた。巣のあった場所は川の流れで削り取られてできた崖。

写真はちょうど夏至の頃、おそらくこの子どもたちは生後1ヶ月たたないくらいだろうか。5月末頃に生まれたことになる。

ここで面白かったのは、母親がすでに子どもたちを自立させようという教育のステージに入っていたこと。写真はちょうど餌を与えているシーンだが、実はこのころ母親はすぐには餌を与えていない。というのは、一度、餌のネズミを巣に持ち帰るや、それをすぐに持ち去ってしまう。そして巣から50メートル程のところに降り立ち、しばらく子どもたちの様子を窺っているのだ。子どもたちはというと、母親が巣から離れると、すぐに鳴きだし、その直後に羽ばたきのしぐさをする。

明らかにまだ和毛で子どもたちは飛べるはずもないことを母親は恐らく知っているに違いない。少しでも早く飛べるようになることがこの自然で生きていくための条件となることを教えているようだった。

2011年8月17日水曜日

Chase the wolves -part 7-

去年よりまた少し近づいた。今年はもう少しいけそうな気がする。

デナリ国立公園で撮影できたオオカミとしては、いちばん近い。

しかし、ただ近くで撮影できても仕方ないばかりか、「偶然に撮れた」というのではなかなか撮りたいものは撮れないというのが現実だ・・・。

Grey wolf

2011年8月14日日曜日

氷河の後退

Cascade glacier
アラスカアンカレッジから出ているツアーで人気のある26氷河クルーズ。26の氷河を見て回ることができるのでこの名前がついている。場所はアンカレッジから車で1時間半のプリンスウィリアム湾。
後退を続けるカスケード氷河は5年前ついにその氷河の際を海から出し、完全に陸の上に乗るかたちになった。10メートルの雪が圧縮されてやっと5センチの氷河にしかならず、形成されるスピードよりも解けるスピードが速ければ後退を意味する。この後退は26氷河のうち25の氷河で顕著に現れていて、ここ最近のアラスカの気候が温暖になっていっていることは間違いなさそうだ。「南極大陸の氷が溶ければ海水面が上昇する」ということはよく言われているが、ここ北半球の南アラスカでも陸の上には膨大なアイスフィールド(氷原)が広がっていて、溶け出せば海水面の上昇に拍車をかけるに違いない。

2011年7月25日月曜日

Kenai Fjord Tour

一昨年の6月にタダでいったツアーに、また参加できた。今回はガイドの仕事のエディケーションということで乗り合わせた。前回見ることができなかったシーンに焦点を合わせ、撮影に集中。

Horned puffin
キーナイフィヨルド国立公園には2種類のパフィン(ツノメドリ)がいてそのうちの一種。どの鳥もこの時期はアラスカを繁殖地として渡ってくる。写真は夫婦?だといいけど、実際のところ雌雄の判別は難しい。。。というより自分の目では正直判別は不可能。

Sea otter
おなじみのラッコ。アラスカの海洋ほ乳類のなかでは一番小さくて、リスの仲間であるげっ歯目のなかでは一番大きい。写真は、何を食べてるかわからないけど、2匹とも目をとじながら何かを一生懸命かじっている。彼らは寝るとき昆布にからまって寝るというかわいらしい特徴がある。もちろんこれは寝ている間に潮に流されてどっかに行ってしまわないため。

Sea lion
これは一昨年も撮影したトド。今回の方が近いところでケンカのシーンを見ることができた。ケンカと言っても雄の縄張りの確認をし合っている程度。

Humpback whale
ジュノーでの撮影以来の座頭鯨(ザトウクジラ)。ちょうどランチタイムにお目にかかり、採餌行動を見ることができた。今回のアナウンスガイドで学んだのは、クジラが魚を追いかけて水面まで追いつめたとき、カモメが一目散に集まるので、彼らの動きに注目しておく方が、この採餌行動を写真に収められる可能性は高いということ。といっても一瞬の出来事なので難しいに越したことはなかった・・・。

2011年7月21日木曜日

Test drive のお知らせ

ホームページのストックフォトのページのみ、試運転をスタート。
写真はまだ40枚ほどしかアップしていませんが、少しずつアップしていきます 。



このページはもうじき出来上がる自分のホームページの『ストック』のパートを担うことになります。特徴としては、写真の購入ができるほか、ソーシャルネットワークで写真をシェアしたり、ページ内で自分のアカウントを持つことができ、購入記録や、気に入った写真をライトボックス(フォルダと同じ)に収めておくことができます。
こちらからページへジャンプします。

ご覧になった方でなにか気づいたことがあればコメントください!

2011年7月6日水曜日

Midnight sun

1:30 am
北極圏ミッドナイトサン。
木が生えることができないこの地域はそれでもいっときの夏の光を休むことなく吸収する。


今回の北極圏への旅はガルブレイス湖まで。初日はアンカレッジから車でフェアバンクスまで7時間。
2日目にフェアバンクスからダルトンハイウェイに入り、14時間。蚊の天国、ガルブレイス湖に到着。

距離で言うと片道1100kmくらい。


ぽんこつのシェビー1996も15万マイルを超え、いつエンジンがストップしてもおかしくないような状態。本来スペアタイアとパンク修理の道具を持参するべき旅なのだが・・・。


写真左をハイウェイと並走しているのがトランスアラスカ・パイプライン。元々この道はこのパイプライン建設のために作られ、現在はパイプのメンテナンスや北極海油田のプルドーベイまで物資を運ぶために使われている。一般車も最近は多く入るようになったようだが、他の高速道路に比べて交通量はきわめて少ない。



この北極圏への旅をしていて、歩いていても誰とも会わない。ほんとうのリモートエリア(遠隔地)。



2011年7月2日土曜日

ポストプロダクション(Post-production)

写真を撮り終えた後、その写真を仕上げる作業、これが post-production 翻訳すれば、商品にする前段階の編集という意味。ハイエンドのカメラでは最高画質を得るために、センサーがとらえたままの画像を保存できる。撮り終えると、カメラに納まっているデータは RAW data すなわち、生のデータなので、デジタル現像する必要がある。これはウェブにアップする場合でも、紙媒体にプリントする場合でも必要になる作業。

この作業に規制をかけなければデジタル処理の場合、なんでも写真に処理を施していいということになりかねない。自分の中では、生データから現像のあと、シャープネスをかけるにとどめるようにしている。

これが生のデータ。仕上がりよりも霞がかかったような画像。このデータは自分の目で見た映像ではなく、カメラが見たままをとらえて記録されたもの。これを自分がその場で感じた絵に近づけていく必要がある。


ここがデジタル現像の過程。フィルムを薬品に浸すときの調整よりも数段細かい調整が簡単にできるのは事実。


現像したあとはそのままフォトショップでファイルを開くことになる。ここではシャープネス(unsharp mask)のみかける。
ネイチャーフォトのジャンルでは特に、広告写真と違ってここでの編集はさける必要がある。

2011年6月16日木曜日

白夜を渡る鳥




北極と南極を移動する鳥、極アジサシ。寒さに耐えなくてもいいようそれぞれの極が暖かい季節に移動する。いつも太陽に一番近いところにいてあまり夜を知らない鳥。

赤:夏の繁殖地 青:冬の集結地(夏の南半球) 出典:wiki


巣に近づけば体を大きく見せて威嚇
卵を温めているもののために魚をとる

彼らの行動を見ていて面白いことに気がついた。巣に近づくとそこで卵を温めているメスはもちろん僕に対して威嚇をしてきたけれど、彼女のその威嚇する声にあわせて周りを飛び回っていたものたちも応援に駆けつける。一対で子育てをするものだと思っていたが、そうではなく集団で行うのだろうか。そのとき僕は4羽にかこまれ鋭いくちばしでやられる手前だった。こんな行動をするのもカモメと営巣場がオーバーラップしていているからかもしれない。

看板とともに「そんな近づかないでくれ」といってるようだ

アラスカの動物の適正露出

撮影するにあたり撮影対象の適正露出(proper exposure)をあらかじめ考えておくことは事前準備のうちに入る。

適正露出とは撮影対象が写真になったときに、見た目に近い、明るすぎず暗すぎない、あるいは白すぎず黒すぎないように、自分でカメラをコントロールして撮ること。あくまでも正解はなく、自分の考える最適な明るさや色を出せる値が、適正露出の値になる。

カメラのメーターが算出する値から、自分の予測する値に調整すること、これを露出補正(exposure compensation)と言う。特にアラスカの動物では慎重に補正する量を考えなければならない。基本的にドールシープやシロイワヤギでは対象が真っ白なので露出は少し+側に補正し、黒めの体をしているグリズリーやクロクマでは、逆にマイナス側に補正する。動物への光のあたり具合によっても変る。また、動物がファインダー内を占める割合によっても値が変るので注意していなければならない。(測光方式についての説明は省略)

以上のような動物種では急な動きをすることがほとんどないので、露出の補正ダイヤルをまわす調節だけでほとんど済ますことができる。

しかし、対象が黒と白の個体、ハクトウワシやシャチ、氷塊の上にいるアザラシなどはこの適正露出を得るのが難しい。
具体的な例でハクトウワシを挙げると、

まず、飛んでいるハクトウワシがぶれないようにシャッター速度を優先して考える。このときは1/500くらいと予想する。カメラをマニュアル露出モードにして、シャッター速度を固定(1/500)、近くにある灰色の岩にカメラを向け、スポット測光で露出を得る。このときはf/6.3。


※これはカメラのレンズによってもフィルム感度(ISO)によっても大きく変わる。


こうして露出がf/6.3の1/500、ISO800で決まり、あとは焦点を対象に合わせて撮影していく。

これはハクトウワシの頭の白い部分と体の黒い部分の中間の値なので、これをしておくことの利点は背景が海や森や空に変ろうとも対象は同じ露出で撮れるということ。要するに、ワシへあたる光が変らない限り、ハクトウワシがどこへ飛んでいってもそのまま撮っていればいい。この設定をしておかないでただカメラまかせにしておくと、ハクトウワシが森の前を飛んだときは急に画像は白く霧がかったようになり、ハクトウワシがぶれて白い頭は真っ白になる。明るい雪景色が背景になった場合は、逆にハクトウワシは真っ黒になり、ワシのシルエットだけが画像として残る。

以上が、被写体を中心に撮影するときのカメラ設定の方法。これは背景を入れた一枚絵を考えるときは別の設定方法になる。

2011年6月10日金曜日

ワシの巣観察

アンカレッジから車で1.5時間のウッティアの町。
6月はハクトウワシが子育てに大忙しの季節になる。この鳥の大きな特徴は一度つがいを作ると死ぬまで離れることはなく、2羽で子育てをする点にある。
アメリカ本土のほうのものと比べてアラスカのハクトウワシは卵を産む時期が遅い。もちろんアラスカは気温が低いために子どもにとって厳しいというのが自然な理由だが、ほかにも、鮭をはじめ河口に多くの魚が集まる6月ということもハクトウワシが子育てを6月に合わせる理由もあるようだ。



この港町に入ってすぐの木の上につがいが2羽の子どもを育てていた。写真は左が母親、右が父親。

観察の方法は午前11時から午後5時までの6時間、どのような行動をするのか双眼鏡をつかって観察し、記録をした。巣にいる両親(雌雄)の行動に注目し、子どもの保護と給餌に特に焦点を当てた。

 
11:00 巣内には母親のみ。



11:50 母親は巣内に貯蓄?してある餌を子に与える。父親は餌の調達。



12:00 父親が巣の上の木に戻る。母親は巣から離れる。



12:05 父親が巣に戻り、給餌。



12:15 父親は巣の修復。



13:00 父親が巣から離れる。巣内には子ども2羽のみ。


13:50 母親が戻る。



14:15 母親が巣から離れる。巣内には子ども2羽のみ。
14:55 父親が戻る。



15:05 父親が巣から離れ、母親が同時に巣に戻る。巣の修復材料を持ち帰る。



15:20 母親が巣から離れる。巣内には子ども2羽のみ。



15:30 母親が巣に戻る。



16:15 父親が巣に戻り、餌を持ち帰る。両親とも巣内に。



16:20 父親が巣から離れる。