2012年4月24日火曜日

写真販売 - part 2 -

今年の冬のひとつの試みに、自分の写真がどれだけ売れるかということがあった。


以前にも記述したが、「売る」ということに関して固執はしたくない。あくまでもいいと思う写真を別の形で商品にして、みんなにアラスカを知ってもらうことと、自分の活動を知ってもらうということに焦点を当てたい。

しかし、写真家としてやる場合、いつまでたってもなんらかのアルバイトと並行して活動するのでは、自分のテーマがクリアに見えて来ない。

そんなことも考えていて、今回はフェアバンクス博物館で売られている写真とは別に、自分の写真で、利益を出してみようと試みた。

商品は、アラスカの特注切手、ポストカードセット、フォトカードの3種類。販売先を日本人観光客の訪れるお土産屋さんに絞った。
切手もアメリカから日本へ、旅の途中に送れる料金、$1.05に設定して作成した。また、冬のアラスカということもあって、オーロラの写真を使ったものをより多く作った。


結果として、ポストカード120枚、切手45枚、フォトカード21枚が売れた。
1ヶ月間の販売で、ひと月の食費分くらいの利益は出た。出だしとしては次につながるいいデータが出た。冬は、オーロラだけでいってもいいくらいだというのが感想だ。ただし、オーロラは自分が全面的に出していきたい写真とは大きく異なる、ということがひとつの問題となる。つぎはオーロラについては名無しで出そうかとも考えている。

今回は少数での発注だったため、商品ひとつあたりの原価は少し高くついたが、これをベースに夏期の見込みを作ってふたたびチャレンジする予定。
それにしても、またここで、売れる写真と自分が表に出していきたい写真の大きなギャップを感じたことも事実だった。



2012年4月18日水曜日

ワイズマンでのオーロラ


3月22日
この日は昼から快晴が続き、絶好のオーロラ日和となった。

フェアバンクスでいつも観ているオーロラに比べて、北極圏のここ、ワイズマンで観るオーロラはより濃く、はっきりと確認できた。場所によってオーロラが濃く出るということはないのだけれど、観測地の空気の状態や、まわりのちょっとした灯りなどで見え方は変わってくるのだろう。





霧(きり)についての考察



霧と雲は本来同じものだが、見る側の位置によって名称が変わる面白い言葉の区別だと思う。

雲は空に浮いている蒸気のかたまりなのに対して、霧は地上に接している蒸気と定義できる。


北極圏ブルックス山脈

写真を撮る側としてもこの違いは大きい。単純にどちらも風景写真にひと味加えてくれる。雲は形や光を反射しているその具合によって、一枚の写真をドラマチックにしてくれる。霧は光を拡散させて、写真全体に静寂感をあたえる。

たとえば、雲については上の北極圏での写真だが、ちょうど霧と雲の中間を写したもの。霧は朝方、低い位置で結露しやすいので、狙うとしたら早朝がいい。車でこの山に近づいているときは、まだ裾野まで霧が広がっていたが、30分ぐらいして三脚をセットする頃にはほとんど山にぶつかって、雲になっていた。写真としてこの山をさらに強調するためには、この蒸気に加えて、太陽の光が射込んでくるとよかった。南が晴れていたので1時間くらい待ったが、状況はほとんど変わらず、霧はすべて雲になった。


霧の中を群れをなして飛ぶカナダガン

これは朝5時30分ごろ、水の多い湿原のそばを歩いていたときに撮影したもの。これは蒸気が均一に地上に広がって発生していたので、一枚の写真のなかに光がバランスよく拡散されて、いい雰囲気が出た。

霧はすべてそのまま上昇して雲になるかと言うとそうではないと思う。この日は確か、午前8時間ごろから晴れた。水辺の近くで朝方という条件は霧を作りやすいに間違いないけれど、たしかに発生することを予想するのは難しい。


デナリで見られる風景

この写真は霧から雲に変っていく途中段階での、同じく朝方撮影した写真だが、蒸気が巨大なディフューザーとなって、太陽の光を拡散させている。オレンジ色の朝の光が景観に均一に入ってきているので、霧のない朝はこのような風景は観られない。

おそらく暖かい夜から朝にかけて、ふつうは太陽が次第に地平線に近づいて気温が上がるところ、そうではなくて、気温が下がるような日に霧が発生している。


ドラマチックな雲を狙うなら、暖かかった日の夕方。
静寂をかもす霧を狙うなら、水辺の冷える朝方。


アラスカの静寂をひとつテーマとして撮りたい場所がいくつかあるので、これらを考慮して撮影に臨もうと思う。