2010年9月6日月曜日

Humpback Whale

7月初旬ジュノーでのクジラの撮影。

氷河の横を通り過ぎる大型船


クジラたちはそこまで怖がることなくボートの横を遊泳する。


間近で見るとやはり大きい。あるときは手の届きそうなところまで近づいて来た。


バブルネットフィーディング(追いつめた魚を数頭で下からすくい上げたところ)


15分間隔で魚を集めては大きな口を開けて飲み込み、海岸沿いを北上していった。
ときおり上げる重低音の鳴き声は、山にこだましてこの海域全体に響き渡った。この群れは8から11頭でともに行動し、あるときはふたてに分かれてまた戻ったり、行ってしまって戻らなかったりした。


2010年8月6日金曜日

Neutral Dencity Filter


先日、ニュートラルデンシティーフィルター(NDフィルター)を買った。撮影用のフィルターにはたくさん種類があるが、色んな人の写真集や撮影術の本を見てきて一番欲しかったのが、この、−2NDフィルター(Cokin grad­u­ated neu­tral den­sity fil­ter P121 cokin)。
フランス製のプラスチック素材で3000円。ガラス製の本格的なものに比べて8割くらい安い。
これはNDフィルターの中でもハーフNDというもので、撮影時、決めた構図の画面半分の露出を下げることができるようになっている。上の写真で使用しているが、空の部分の露出を2段下げることによって画面全体を均一な光でセンサーへ送り込める。(注:直射日光は2段下げた程度ではまったく変化はないようだ。)下の写真は比較。

この写真は両方ともハーフNDを使っていて片方は逆さに使用している例。(This source is diverted from here.)

JPEG変換されているが、撮りっぱなしの画像でこの光りが一枚に出せれば、あとはローカルアジャストのみで編集することができ、より質のいい写真に仕上げられる可能性が出る。

2010年7月24日土曜日

Simple Coexistence Model


7月初旬、南東アラスカ、ジュノー

友人の協力により小型ボートをレンタルし、南東アラスカのインサイドパッセージ(氷河やフィヨルドなどからできている多くの入り江や自然の水路)へ。
初日上陸した、人も住めないほどの小さな島。


淡いグレーの砂浜は満潮時には海面となる。


この孤島の一部に草原とはいえないほど小さな、上の写真でちょうど丘の部分にとても興味深い生態があった。


ルーファスハチドリ(英名:Rufous Hummingbird)

アラスカにこの奇妙な進化を遂げた鳥がいることは知らなかった。昨年冬のカリフォルニアで見かけたときに、撮影してみたいと思っていた鳥だ。そばまでくると、大きな蜂が近づいてきたと思えるほど大きな羽音が聞こえる。それほどものすごい速度で羽ばたいていることになる。ちなみにこのときのシャッター速度は1/320。一カ所で羽を止める写真を得るためには1/1000以上のシャッター速度が必要だといわれている。



オダマキ(英名:Red Colombine)とハチドリ

この2種類の生き物はお互い依存し合っている。これはとてもわかりやすい共生のうちの一つで、昆虫が花の蜜をもらう代わりに、花粉を運び、他の花の雌しべへの受粉を助けているという最も有名な共生と全く同じである。少し違うのは、このオダマキの花が、ハチドリに蜜を与える際に花粉を預けやすいよう、『ハチドリ型』に花弁を変形させている点。実は花のように見える赤い部分は萼(ガク)にあたる部分で花びらではない。花弁の部分を筒状に進化させてハチドリが蜜線にくちばしを届かせたときに、雄しべがちょうど頭にくるようになっている。(上の写真)ハチドリのほうも、その重さから昆虫のように花に停まるわけにはいかないため、空中に停まれるようホバリングという奇怪な運動特性を身につけている。


この2種のセットで進化していく生き物たちは、ダーウィンが注目したランと蛾の共進化を連想させる。生物界にはこれら以外にも無数の共進化の例があるが、少しずつ自分で発見し、写真に収めていけたらと思う。





2010年7月21日水曜日

Authentic Inhabitant nature created







冬の間は最もオオカミを警戒しなければならなく、夏はジリスにその役を任せて。
東からのそよ風にふかれながらくつろぎのときを過ごす。

いつもかれらは非常に落ち着いた表情でこちらを見てくる。デナリの動物の中でもっとも堂々とそこを自分の住処としているのは彼らのように感じる。



2010年7月19日月曜日

like a question without an answer


デナリ国立公園から帰ってきて考えていたことだけれど、いまだに答えが出ない。

 大昔、まだ動物がいなかった植物のみの時代、有機物はすべて同じ方向の流れだった。
しかしあるときから全く逆の流れが現れて、その個体の尽きたとき地に帰るような仕組みができた。

植物は時間の流れに従って還元していくながれ。逆に動物は酸化していく流れ。どこからこの酸化していく流れが生まれたのか。それにもまして、なぜ自然は逆の流れを必要としたのか。
自然は無駄なことをしない。
これもひとつのある一定量を超えると質が変わるという自然の理のひとつなのだろうか。

 こんなことに答えなどないのかもしれないけど、不思議でついついぼーっとその思いに耽ってしまう。



Mountains in Denali NP

これらの山は天候、季節、時間帯などの外的要因だけではなく、その山の標高、鉱質、表面の植生が占める割合などの内的要因によって見せる表情が違っていることが、歩いてみるとわかる。風景は外的な要因によってみせる姿があまりにも大きく左右されるけれど、本当にそのものの見え方を知る場合には登る以外に方法はない。登ればその山が朝夕だけでなく昼でもオレンジ色に輝く理由や、いつも隣の山の高さに負けて日陰であるのに、エメラルドグリーンのきれいな色を反射し続けているわけが解る。









もちろん写真としてその風景を主観的に切り取ることで見え方がかわることと、カメラによる編集と編集ツールによる編集によって見え方が大きく変わることも間違いない。極力編集は人間の目で見た感じに近づけていくようにしている。作品としては主観描写を画角と色によって自分で表現する必要があるけれど、客観性を失うほどのことはしたくない。

2010年6月28日月曜日

Chase the wolves -part 6-

今年夏、アラスカ到着後のはじめの撮影はデナリ国立公園でのオオカミ撮影。
(今回の投稿では前回からの対策と結果のみ表記)


 去年の問題点における改善点は以下の通り。

問題1、滞在期間、観察時間が短かったということ。
改善1、滞在期間1週間のうち行動時間の大半をオオカミ捜索に費やしたこと。

問題2、Adams 氏のアドバイスをもとに撮影場所を設定したこと。
改善2、書物、時季、現地情報を得て考察の後、自ら捜索する場所を設定したこと。(これについての詳細は part 5 参照)

問題3、滞在期間気温が高く、オオカミの行動は抑えられていたこと。
改善3、去年より2週早めて出かけたこと。朝と夕刻に集中して捜索したこと。

問題4、オオカミの巣がある位置はエリア閉鎖されて入れなかったこと。
改善4、唯一閉鎖エリアを通過できる、パークバスで何度もオオカミの巣付近を行き来したこと。

結果として、成獣3頭と幼獣2頭を確認できた。(写真は大人2頭のものと子供1頭のもの)



このEast Fork pack (オオカミの群)は今年6頭の子供が生まれて育てているという。

6月末で、このサイズ(生後2週未満)ということは6月初旬から中旬にかけて出産されてことになるが、ミューリーやほかの研究者からの報告をもとに一般にいわれている出産時期からはかなり遅れている。


動物写真というよりは記録写真にすぎないが、今回の発見と捜索の繰り返しによって、徐々にオオカミの生活が自分の中でイメージできるようになりつつあるのは確かだ。また、自分の撮りたいと考えているオオカミの姿を映すにはほど遠いことも確かである。