2010年9月24日金曜日

オーロラ撮影


フェアバンクスの町から車でとばして45分、チェナレイク。ここは町の人たちのために作られた人工湖。

風がなければ鏡のように上空を写し出す。今回同行した日本の自然写真家の方はこの湖面に映るオーロラの写真を撮るためにはるばる東京からやって来た。撮影ポイントを3カ所、事前におさえておく。


夜10時29分、北東方面に緑色のオーロラが薄く出始める。肉眼では、なんとか出ていることが確認できる程度。ここでの写真は長時間露光しているのではっきりとオーロラだとわかる。


11時58分、人工灯が気になるという写真家の要望で撮影ポイントを変更。同じ湖の人の入っていかない方へ。
オーロラをカーテンのように写し出すためには、あまり長い露光時間を使えない。そのため感度(ISO)を上げるか絞りを開放に近づけるかすることになる。写真は28mmよりやや広角なために水平線が歪曲してしまっている。オーロラへの露出はオーバーしている。


対岸にピントを合わせているが、オーロラにはしっかり合っていない。また、オーロラ自体の光にムラがあるためにエッジがきれいに出ない。


方角を変えて、町の光も意識的に入れてみたりした。



北斗七星とオーロラ

今回の撮影でもっともまともな一枚。オーロラ撮影の難しさを知った。
オーロラの撮影では、開放より一段絞り、感度は800くらいを限度とし、なるべくシャッタースピードは速くすることが基本とされているけれど、これはオーロラの出ている条件が整わなければ写し出せないということを知った。また、湖面に映るオーロラの場合、湖面のオーロラと実際の上空に出ているオーロラとの距離の差が大きいため、ピントを両方に合わせていくのは至難の業。ここでもまた、普段見かける雑誌の中のオーロラの写真が、好条件のもと正確な技術で撮られているということを学んだ。


2010年9月17日金曜日

Glacier

一日数センチ、氷河によっては一日数ミリで流れる、時のスケールが大きく異なる川。

氷河の源流

降り積もった雪が圧縮されて固まり、氷の川になる。

氷河の合流地点
アクアブルーの箇所は氷河の上にできた池

カーブするところでは無数のクレバスができている。

カーブで生じる圧力の違いから、一度固まった氷塊が細かく砕けまた流れ始める。





2010年9月12日日曜日

風景写真について




Savage River, Denali N.P.


一枚の写真のなかの細かい部分にいかに配慮できるかは、風景写真を撮る上で重要になる。上の写真はデナリ国立公園で撮影したものだが、この一枚にデナリ国立公園に存在する川の風景の特徴を含めようと努めた。どの程度自然の摂理を認識できるかは、どれだけ自然を観察できるかによるのだと思う。
氷河が溶け出し源流となり、一度はたくさんの支流を平原で作るが、再び山岳地帯に入るとそれらが収束し、急流となり山へ分け入る。川は下流に至っても左右にそびえる山を削り、大きな角のある岩が転がり込む。またその流れる川の水は氷河を水源とするため淡いブルーに濁り、低い水温が脇の木々を下から黄葉させる。この水量とこの公園の位置から明瞭な河口が存在しないことは容易に想像でき、あるところで湖を作り、残りは土壌に吸収されて消滅する川である。

デナリ国立公園では至る所でこういった川が存在する。というのも氷河が多いことと、広大なツンドラ地帯と山岳を含むタイガ地域があることに由来する。自分にとっての風景写真はきれいだから撮るものというよりは、考えて表現していくものである。天才は勘や直感で、一瞬にして表現し尽くしてしまうが、そうでない者は考えるより他に方法はない。

また、写真の表現を考えた場合、この写真をデナリの風景というテーマの組で持っていくことは難しい。その場合はテーマを広げ、「アラスカの自然」などとして動物や違った天気の日の写真が必要になるだろう。スライドショーなどで流す場合には短時間で見せる訳だから差し支えないだろう。

Dance Lesson


道路から茂みをかき分けて入っていくと、そこに見渡しの良いダンスの練習場があった。

 僕がこっそり覗き込んだときには若い一羽がすでに準備を始めていた。


 三羽でなにやら打ち合わせの様子。


 時折羽を広げては閉じ、仲間へなにかを伝えていた。


 すると一羽が仲間へ自分の踊りを披露。


 なかなか軽快なステップで羽をいっぱいに広げては飛び上がり、足踏みしてリズムを取った。


 不意に横から一羽が加わり、

 そこに居合わせた仲間みんなで踊りが始まった。


 何か決まった踊りがある訳ではなく、まとまりのあるものでもなく、一羽一羽が好き勝手に踊った。

ある者は、くちばしで草の根をくわえて飛び上がったり、くるくる回ったりして自分の踊りを他の仲間へ見せつけるようにした。またある者は他人の踊りをしばし眺めてはその場で羽を広げてみたり、足踏みだけしてみたりして他を見習った。


日がちょうど地平線に半分隠れる頃、踊りを最初に始めた者がそこを離れ舞台は静まり、一羽ずつそこを飛び立った。

 彼らは夏場アラスカなどの北アメリカで過ごし、冬になる前にアメリカ南西部へ渡る。





2010年9月6日月曜日

Humpback Whale

7月初旬ジュノーでのクジラの撮影。

氷河の横を通り過ぎる大型船


クジラたちはそこまで怖がることなくボートの横を遊泳する。


間近で見るとやはり大きい。あるときは手の届きそうなところまで近づいて来た。


バブルネットフィーディング(追いつめた魚を数頭で下からすくい上げたところ)


15分間隔で魚を集めては大きな口を開けて飲み込み、海岸沿いを北上していった。
ときおり上げる重低音の鳴き声は、山にこだましてこの海域全体に響き渡った。この群れは8から11頭でともに行動し、あるときはふたてに分かれてまた戻ったり、行ってしまって戻らなかったりした。


2010年8月6日金曜日

Neutral Dencity Filter


先日、ニュートラルデンシティーフィルター(NDフィルター)を買った。撮影用のフィルターにはたくさん種類があるが、色んな人の写真集や撮影術の本を見てきて一番欲しかったのが、この、−2NDフィルター(Cokin grad­u­ated neu­tral den­sity fil­ter P121 cokin)。
フランス製のプラスチック素材で3000円。ガラス製の本格的なものに比べて8割くらい安い。
これはNDフィルターの中でもハーフNDというもので、撮影時、決めた構図の画面半分の露出を下げることができるようになっている。上の写真で使用しているが、空の部分の露出を2段下げることによって画面全体を均一な光でセンサーへ送り込める。(注:直射日光は2段下げた程度ではまったく変化はないようだ。)下の写真は比較。

この写真は両方ともハーフNDを使っていて片方は逆さに使用している例。(This source is diverted from here.)

JPEG変換されているが、撮りっぱなしの画像でこの光りが一枚に出せれば、あとはローカルアジャストのみで編集することができ、より質のいい写真に仕上げられる可能性が出る。

2010年7月24日土曜日

Simple Coexistence Model


7月初旬、南東アラスカ、ジュノー

友人の協力により小型ボートをレンタルし、南東アラスカのインサイドパッセージ(氷河やフィヨルドなどからできている多くの入り江や自然の水路)へ。
初日上陸した、人も住めないほどの小さな島。


淡いグレーの砂浜は満潮時には海面となる。


この孤島の一部に草原とはいえないほど小さな、上の写真でちょうど丘の部分にとても興味深い生態があった。


ルーファスハチドリ(英名:Rufous Hummingbird)

アラスカにこの奇妙な進化を遂げた鳥がいることは知らなかった。昨年冬のカリフォルニアで見かけたときに、撮影してみたいと思っていた鳥だ。そばまでくると、大きな蜂が近づいてきたと思えるほど大きな羽音が聞こえる。それほどものすごい速度で羽ばたいていることになる。ちなみにこのときのシャッター速度は1/320。一カ所で羽を止める写真を得るためには1/1000以上のシャッター速度が必要だといわれている。



オダマキ(英名:Red Colombine)とハチドリ

この2種類の生き物はお互い依存し合っている。これはとてもわかりやすい共生のうちの一つで、昆虫が花の蜜をもらう代わりに、花粉を運び、他の花の雌しべへの受粉を助けているという最も有名な共生と全く同じである。少し違うのは、このオダマキの花が、ハチドリに蜜を与える際に花粉を預けやすいよう、『ハチドリ型』に花弁を変形させている点。実は花のように見える赤い部分は萼(ガク)にあたる部分で花びらではない。花弁の部分を筒状に進化させてハチドリが蜜線にくちばしを届かせたときに、雄しべがちょうど頭にくるようになっている。(上の写真)ハチドリのほうも、その重さから昆虫のように花に停まるわけにはいかないため、空中に停まれるようホバリングという奇怪な運動特性を身につけている。


この2種のセットで進化していく生き物たちは、ダーウィンが注目したランと蛾の共進化を連想させる。生物界にはこれら以外にも無数の共進化の例があるが、少しずつ自分で発見し、写真に収めていけたらと思う。