2013年5月29日水曜日

日本の森



写真は日本に帰国した際に撮った、函南原生林の中での写真。

日本に25年間暮らし、そのあと北米で5年間暮らした自分にとって、この日本の森林風景があまりにも新鮮に見えたのは皮肉だ。

函南原生林は、箱根の南側に位置しており、地元の森林組合の意向により長年伐採から免れてきた。森はトレイルが整備されており、2時間程度で一周できるようになっている。
平成元年までは、樹齢700年で日本最古の大ブナと言われた巨木もあった。いまでも樹齢500年以上のアカガシが数本あり、永きに渡って火事を逃れ、人間に守られてきたのだとわかる。

アラスカなどのタイガ森を歩き続けた者なら誰でもわかるように、北方の木々は、主軸がまっすぐに伸び、それを中心として放射状に枝が出るものがほとんどであることがわかる。これはおそらく雪の重さに対応するため、それから冬になる前に、効率よく水分を体から出すために作られた、それら結果の構造なのではないだろうか。自分の成長は、吸収できたエネルギーから、ほぼ同量の生きるためのエネルギーを差し引いて、余分が出たときにだけ考えるといった様子で、凛とたたずんでいる。

対してこのブナを中心とした函南原生林の木々は、ラインが様々な角度で自由奔放に伸びている。寒さなぞ、当分気にしなくていいといった具合に、か細くなってもできる限り幅を広げようと伸びている。当然寿命は北方林よりも永くなる。これは自然なことだろう。それにしても、新緑の葉が太陽の光と一帯となって、存分にエネルギーを得ているようで綺麗だった。

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