2008年3月8日土曜日

Anchorage Daily News

面白い記事を見つけた。
この記事を読むまでオオカミがサーモンを獲るという事を知らなかった・・・。

ANCHORAGE — When a lone, female wolf appeared at the Brooks River Falls in Katmai National Park & Preserve this summer and began catching sockeye salmon as if she were the most efficient of brown bears, photographer Paul Stinsa didn't know what to think.


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2008年3月3日月曜日

chase the wolves


オオカミを撮影する構想について。
ロケーションは特定してあり、アラスカ南部。現段階では特にアンカレッジに近い2グループに特定して調べを進めようと考えている。ADF&G(アラスカ州魚類狩猟局)の研究コードで言う unit 16B と unit 13 の2パックである。これら2グループは彼らのテリトリーが人間の生活圏と非常に接近しており、ADF&G により個体数がおおむね管理され、調査が比較的行き届いているといえる。このような条件から、生態撮影のド素人である僕にとっても撮影できる可能性が大きくなる。 ※注:右のイメージは狼のテリトリー表示ではない。

実際 research から shot までの僕の考える過程。その過程を大まかにまとめると以下のような手順になる。

1.study & analysis 
アラスカ州各局の方から調査情報を得る。文献を読んで生態を詳しく研究する。など
2.field research 
生態調査のための器具を用いて、実際の個体群調査。出現数カウント(無人赤外線)。
3.approach
出現頻度の高い場所を特定して、無人撮影器具を設置。
4.   shot
できれば無人撮影はしたくないが、はじめは仕方ないと思う・・・。

wolves


オオカミについて興味を持ち始めたのはいつ頃だろうか。
幼少の頃から動物、とくに哺乳類が好きでそのまま動物学科の大学に入り、その図書館で見つけたエリックツィーメンという学者が書いた「オオカミ その行動と生態」を読んだときだったかもしれない。今ではその内容をほとんど覚えていないのでまた読みたい。

今回オオカミというテーマで書き始めたのは、これから自分が写真を撮っていく際に、必ず生態写真として収めたい動物がオオカミだからである。このオオカミという動物、調べれば調べるほど人間と関係が深く、似通った社会生活をしていると感じる。オオカミが牧畜を襲うため、昔からオオカミは広い範囲で人間から迫害されてきたが、オオカミが広いニッチ(生息地域)を必要とすることや、人間よりもハンティングがうまい事なども原因かもしれない。これらの人間と競合してしまう生態から、人間はオオカミを「邪魔な動物」と決めつけた。そして世界各地で絶滅に追いやった。日本においても、である。しかし今なお、オオカミは「怖い」「悪い」「暗い」というイメージが根強く残っているのではないかと、文献を読んでいると思うことが多い。

オオカミについての歴史的記述はまた後日述べるとして、この動物の撮影について考えていきたい。野生のオオカミを撮影しようと思って、100%撮影できるカメラマンを僕は一人しか知らない。今まで数多くのネイチャーフォトグラファーを調べてきたつもりだが・・・。それほどこのオオカミという動物は撮影が困難なのである。ただし、僕は俄然やる気が出る。撮影が困難な第一の原因は彼らの嗅覚だといわれる。クマでさえ人間との距離が数キロ離れていても、その臭いを感じ取る事ができるのに、オオカミはそのまた数倍嗅覚がいい。その嗅覚によりオオカミたちは自分たちのテリトリーに侵入してきたカメラマンの臭いを時間差をおいて嗅ぎ取る。あたかも人間がTVやインターネットから情報を得るように、オオカミは侵入者の臭いによって、時間、距離、種類などほとんどすべての情報を得るという。彼らのフィールドにおいて生身の人間では敵うはずがない。上述したが、撮影を100%成功させるオオカミ撮影のスペシャリストがいる。ミネソタ州在住のジム・ブランデンバーグだ。(彼のバイオグラフィーはまた別の機会に設ける。)彼はなんと、オオカミのテリトリー内に自宅がある。普通はそんなところに自宅を構えるとオオカミは避けるようになるだろう。しかし、彼はまず先に彼自身をオオカミに認めさせてしまった。これはオオカミのリーダーになったヴェルナーフロイントの話しとは違う。ジムは「部外者」として慣れさせてしまった。こうしてそこに棲むオオカミはジムを気にしなくなった。彼の著作「brother wolf」(上:表紙写真)を読めば、中の写真から、部外者として節度と敬意をもってオオカミの群れと対峙している様子が見て取れる。
僕は正直これを真似しようなどとは思わない。できるとは思うが、いざ撮影というころに自分が老いていては元も子もない。それほど時間とお金がかかるという事だ。ではどのようにオオカミにアプローチをするのか。構想は既に決まっているが、それを次の投稿で考える。


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2008年3月2日日曜日

Vincent Munier



下記の投稿の続きになるが、今見返してみると、自分にとっていい指標となるものを見つけた。
同じ時期に海外の動物写真家について研究していたこともあり、その文書が残っていた。自分の興味本位で行っていたため研究というと大げさだが、意外にも詳細までつめて調べていた。ヴァンサン・ムニエというフランスの動物写真家についてである。
その文面を眺めながら思索を試みた。

彼は大自然の中に生まれ育ったため、物心ついたときから自然を愛するようになったそうだ。学生の頃に科学を学び、撮影機材を購入する資金を貯めるために庭師として働いている。

「ワイルドライフ写真の核心部分は野生動物の背景にある」
これは野生の動物を撮ろうとするとき、どのカメラマンでも注意する事だが、「優れたワイルドライフ写真を撮るためには被写体とその行動パターンについての十分な知識が欠かせない」と彼は強調する。右上のアオサギの写真はまさにそんな彼の意思を表した結果だろう。
「モーゼル川の土手で数日を過ごし、アオサギが毎日エサをとりにやってくる場所をつきとめた」彼の撮影スタイルは endurance である。撮影には隠れ場(写真上)を作り、常にカモフラージュすることを心がけている。この中で、時には−15℃の中3日間こもる事もあるという。いかに環境にとけ込み、耐え忍ぶかが重要になるスタイルと言える。

「優れた写真というものは、カメラマンが知識、尊敬、熱意と忍耐の力で題材の信頼を勝ち取ったときに初めて生まれるものであると思う。窮屈なところからではあるが、自然界を目撃する事ができる私は特別な境遇にあると思っている。私は写真を通じて、決定的な瞬間を人々と共有したいと思っているし、人間の周りにある本当に多様な動植物の大切さと脆さを人々にわかってもらうように努力したいとも思っている。」(テリーホープ著:ワイルドライフ 2003 グラフィック社) と語る。

彼の撮影スタイルは、カメラの技術発展に伴い変化するものではないと思う。野生動物と対峙するときには「尊厳」のような敬意にも似た自分に対する戒めが必要だという不変の定理のようなものだろう。様々な撮影スタイルを研究中の今の自分にとっていいアドバイスとなった。


ヴァンサン・ムニエのページ

部屋のかたづけ

大学3年の夏から4年の秋まで、図書館にこもり、書物をひたすら貪り読んだ時期がある。
就職活動と平行していたため、書物や講演に関する感想のようなものを自己分析がてらによく書き記していた。部屋を片付けているとふと目に留まったので、久しぶりにそれらの書類を見返してみた。

そこには今と変わらず動物写真家を目指す自分の姿がはっきりと確認できた。
なんだかうれしかった。

「私が今夢中になっている事は、野生動物の写真を撮る事です。1年前に動物写真家の内山氏の講演を見て聞いて、衝撃を受けました。野生動物は縄張り行動や繁殖行動など、自分の命を次世代につなぐために行う行動には命をかけているのだと強く感じました。 私はそれ以来、日本の身近な野生動物やカナダの野生動物に目を向け、足を運び、常に自分の命を次ぎにつなぐために命をかける理由を、写真を通して自問自答しています。」と、
あなたがこの1年間に出会って夢中になっているものは何ですか?という問いに対して。
エントリーシートの文面だった。

自分が写真をやり始めたきっかけはやはり、内山氏との出会いからだと再認識できた。