2014年10月2日木曜日

2014 夏の撮影行 日記 7月29日


 7時頃、ログキャビンで目が覚め、外を眺めると、今朝は昨日よりも天気が良さそうであった。ゆっくり朝食を作り、それを食べる。昨日の疲れを感じていたが、今日もカヤックにて出て行くことを考えていた。


今日は、キャビンのそばのイーグルクリークを遡上し、ヒグマのエリアを探索する。事前に調べていた資料によると、アナンクリークに姿を現すのは、メスのヒグマが多く、オスの多くはこのイーグルクリークのエリアにいるものと推測できた。ちなみに、アナンクリークとイーグルクリークは、河口部の直線距離で18Kmほど離れている。


ベースキャンプから、行きは5Kmを2時間程度で進み、河口付近に来ると、あとは流れで登れなくなるところまで進んでいった。川の流れが目で見える程度になると、カヤックで逆走することは困難になる。


このとき、マッチを携帯し忘れ、短期滞在を余儀なくされた。 今振り返れば、行きは海がとても穏やかであった。


イーグルクリークの左右には1,000メートルくらいの山があり、川岸に近い斜面に生えている唐檜(トウヒ)の木は背が高い。キャビンの周りに比べ、カモメやハクトウワシが多く、ブルーヘロン(アオサギ)を見た。上流ではアザラシが、サーモンを追ってやってきていた。


帰りは18時にキャビンに到着。波が急に強まっており、困惑した。この日の海が荒れた原因について、二人で話し合ってみたが具体的な見解は見当たらず、次から用心することだけを肝に銘じた。この入り江が荒れた時間は、16時から19時くらいだろうか。23時のいまは、さきの荒天が嘘のように静まり返っている。




2014 夏の撮影行 日記 7月28日

 20Kmの距離を往復、カヤック漕行。初日にして40Kmを走破した。この疲労感はたまらない。今回のクロクマの撮影をうまく進めるために、この方法がベストと考えられたために選んだ道であった。

 今日は9:20にベースキャンプ(Harding river cabin)出発し、14時頃アナンクリークに到着。15時には帰路につき、20:30にベースキャンプへ戻るというハードなスケジュールであった。漕行中は、ザトウクジラやゼニガタアザラシに遭遇し、ボナパルトカモメは、岸辺に多く見られた。この種は、アンカレッジ近郊では見られない。

 アナン・クリークエリアへは、ラグーンの中へカヤックで入っていったが、本来は禁止されているところへ、僕たちは知らずに入り込んだ。ここアナンはアラスカ州で指定された、クマがサーモンを捕らえるための保護区域で、許可証をとる必要があった。そして、このラグーンへの侵入は、レンジャー以外すべての人間が禁止されているところでもあった。ちょうど川の対岸は、ネイティブコーポレーション(Sealaska Corp)の所有する土地であり、こちら側には、レンジャーでも入っていくことができない。

 僕たちは、ベースキャンプ入りするために予約した、ランゲルの町の水上タクシーのマネージャーから、31日のアナンクリーク許可証を、運良く買い取ることができた。 今回の撮影行は決定するのが遅かったため、許可証をとれずあぐねていたが、この日だけでも取れたのはよかったというよりほかない。