2009年7月12日日曜日

Chase the wolves -part 5-


 オオカミの撮影を構想し始めて1年半、実際に撮影しにいく計画を実践できた。今回の場所はデナリ国立公園。結果、失敗に終わったが、なぜ見つけることができなかったのか考察する必要がある。

 その考察を今回のデナリ撮影行のみに焦点を当ててみることにする。撮影前の情報として、オオカミの行動パターンを The Wolves of Denali をもとに研究した。現地に行く前日に Layne G. Adams に会い、デナリ国立公園のオオカミ生態についてインタビューした。彼は先述の The Wolves of Denali の著者 David L. Mech とともに研究し、現在 USGS Alaska Science Center で調査研究を行っている生物学者である。また、現地に到着後、レンジャーにオオカミ捜索の方法とオオカミの巣(Wolves' Den)がある場所を尋ねた。
 そして、撮影に臨む際、 Adams 氏から聞いた、オオカミを見かける可能性が高い場所(Storny Dome, Polychrome Pass, East Fork & Toklat River area)に焦点を定め、そこへ入るための許可証をとり、以上の箇所に2泊3日ずつ、3回にわたり計6泊9日の撮影行を試みた。

 以上、大きく3つ。事前知識の習得、学者からのアドバイス、レンジャーからの情報をもとに撮影に臨んだことになる。しかし、撮影できるような状況に自分を置くことはできなかった。
 1つめの自分でのオオカミ勉強の目的は、撮影の際の描写以外に、学者やレンジャーから貴重な情報を引き出すために自分でもオオカミに対する知識をつけておくことだった。 
 では2つめの学者からの情報。今考えてみると、これには利点と欠点がはっきりと考えられる。利点は撮影のためのオオカミの生態情報を得ることができたこと。
 Adams 氏によれば、この時期オオカミは群れ一丸となり、子育てに専念しているということ。ジリスも冬眠しておらず、エサとしては豊富にあること。(群れで大きな動物、ヒツジやシカなどを狩ることはこの時期、非常に珍しいとのこと。ほとんどないと言っていた。)他に、外気温が高く、体力を奪われるため、巣からの行動範囲は限られることなどの話しをしてくれた。これらことから、オオカミの巣の位置がどこにあるのかを突き止めることが非常に重要であったことは理解していた。(ちなみに正確な巣の位置を示すGPS情報はもちろん教えてくれない。)
 欠点は、彼ら生物学者はオオカミを捜索する際、ラジオカラー(電波を発信する研究用の首輪)をもとに、上空からそれをつけたオオカミを見つける。そのため、学者はオオカミを「見つけること」に時間をかけてきた訳ではないということ。 
 3つめのレンジャーからの情報。これは遭遇の可能性を高めてくれていたに違いない。オオカミを捜索する場合、川沿いに注目すべきだということを教えてくれた。どの状態でどちらに向かって歩いているか知ることで、巣の位置がだいたいわかるということ(エサをくわえて向かっている方向はだいたい巣のある方角であるなど)。実は園内で立ち入り禁止されている場所は、オオカミの巣のある場所であるということ。(これは人が危険だからではなく、オオカミの個体数を維持するために保護の目的で閉鎖している。)

 
 オオカミを撮影できなかった理由として考えられることは、

1、滞在期間、観察時間が短かったということ。
2、Adams 氏のアドバイスをもとに撮影場所を設定したこと。
3、滞在期間気温が高く、オオカミの行動は抑えられていたこと。
4、オオカミの巣がある位置はエリア閉鎖されて入れなかったこと。 

 などがあげられると思う。


今年、もう一度トライする機会を作る。


2 件のコメント:

MICHIKO さんのコメント...

try&errorだね。
何かで失敗したり壁にぶつかっても、それを恥じるんではなく事実として受け入れて打開策を考えるところは、本当に尊敬する部分の一つだよ。

ちなみに一個前のホッキョクジリスにシンパシー感じました。警戒心も強いが、好奇心もつよいジレンマがある。ってやつ。全然違うよって言われそうだけど。

Takashi Nakashima さんのコメント...

あーそれは全然違うね(笑)
だって彼らジリスたちは警戒しながら進むんじゃなくて、いつでも逃げられるようにするためだけに警戒してんだから