2010年9月12日日曜日

風景写真について




Savage River, Denali N.P.


一枚の写真のなかの細かい部分にいかに配慮できるかは、風景写真を撮る上で重要になる。上の写真はデナリ国立公園で撮影したものだが、この一枚にデナリ国立公園に存在する川の風景の特徴を含めようと努めた。どの程度自然の摂理を認識できるかは、どれだけ自然を観察できるかによるのだと思う。
氷河が溶け出し源流となり、一度はたくさんの支流を平原で作るが、再び山岳地帯に入るとそれらが収束し、急流となり山へ分け入る。川は下流に至っても左右にそびえる山を削り、大きな角のある岩が転がり込む。またその流れる川の水は氷河を水源とするため淡いブルーに濁り、低い水温が脇の木々を下から黄葉させる。この水量とこの公園の位置から明瞭な河口が存在しないことは容易に想像でき、あるところで湖を作り、残りは土壌に吸収されて消滅する川である。

デナリ国立公園では至る所でこういった川が存在する。というのも氷河が多いことと、広大なツンドラ地帯と山岳を含むタイガ地域があることに由来する。自分にとっての風景写真はきれいだから撮るものというよりは、考えて表現していくものである。天才は勘や直感で、一瞬にして表現し尽くしてしまうが、そうでない者は考えるより他に方法はない。

また、写真の表現を考えた場合、この写真をデナリの風景というテーマの組で持っていくことは難しい。その場合はテーマを広げ、「アラスカの自然」などとして動物や違った天気の日の写真が必要になるだろう。スライドショーなどで流す場合には短時間で見せる訳だから差し支えないだろう。

0 件のコメント: