2013年6月14日金曜日

ものづくりの姿勢


緑に覆われる朝日とオジロジカ


 ある本を読んで、自分の辿っている方向性を考えさせられた。去年のことである。その本の著者は、ものを作る人間は、二つのどちらかの道があると言っており、

ひとつは、自分の思いを主体にして、つくりたいものをつくる生き方。自分の価値観や信念にしたがって、自分自身が満足いくものを追い求める。これは採算や生産は度外視することになる。

もうひとつは、自分を社会の一員として位置づけてものづくりをしていくという在り方。需要と供給を意識し、今自分は、何を求められているかを見据えた中に身を置く。これは何をするにも商業ベースで考えていくことになる。

どちらも、いいものをつくりたいという気持ちは同じで、要は、何に価値と意義を感じて生きていくかの違いだと言っている。このことは、僕が出会う写真家皆が意識していて、僕も知っていた。

果たして僕の考えはそのどちらかと言うと、前者であった。しかし残念なことに、自然写真というものを続けていく限り、また、自分の満足する物を追求していく限り、食べていけなければその活動は停滞することを、言葉ではなく実体験として経験している。だから、本当を言うと、この前者と後者の間で、合理的な解決策が見当たらず、3年ほど揺れ動いていたと言っていいかもしれない。(このような自分の中の、悟りに近い、深い決断には、合理的という言葉は無意味かもしれない・・・)

いまは考えが決まっており、バランスがとれつつある。食べていくために、全く違うことも並行して続けていくということは、自分の性分ではないので、なんとか自分の創作活動にもつながるお金の稼ぎ方をしている。

かんたんに分けると、上で言う前者としての撮影活動と、後者に当てる北方の自然を主体とした観光ガイド・撮影ツアー・写真の販売ということになる。

写真家の中には、完全に二者を分け、全く写真と関係ないことをして稼ぎ、時間と金をみつけては撮影に出かける者もいる。また、撮影にほとんどお金をかけないでも、身近に撮影対象を見つけ、立派な仕事をしている写真家もいる。

すべての道を、自分ひとつの体で歩いていくことはできない。自分のスタンスを固める必要があるのだ。僕は昨年そのことにようやく気がつき、あらためて活動を開始したという次第である。







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