2008年10月13日月曜日

投稿特集 第二回:オーロラの発生としくみ

  そもそもオーロラはどのように発生し、消えていくのだろうか。
どうせ見るのならただ綺麗、というよりもなぜそれが発生しているのか、ということを知った方がより想像力が駆り立てられ、地球の神秘を実感できるのではないだろうか。僕は、想像力を膨らませるにはかなりの程度の背景知識が必要だと思っている。未知のものを知らないまま一生懸命イメージするというだけではなくて、その対象となる事柄について、より深く知識を積んでおくことが、より深い感動を得ることにつながるものだと考えている。もちろんこれは僕のスタンス。知らないままにしておいてオーロラに対して畏敬の念を抱くのも一つの手段だと思う。

◉ MECHANISM
 それではオーロラはどのように生じるのか。アラスカ大学の研究所が発行する旅行者用のパンフレットに基づいて考えてみようと思う。
まず、発生についてのポイントは3つ。太陽から、太陽風と呼ばれる風が毎日地球に降り注いでいるということ。地球は大きな磁石だということ。太陽風と地球の空気が衝突すると電気が発生するということ。要約すると以上。


次に図を見ながら。太陽風とは太陽から吹き出す高熱のガスのことで、海王星にまで到達するほどの勢いがある。このガスは電離した水素ガス。これが地球に降り注ぐわけだが、地球の磁場によってそれは地表には到達できず、地球の夜側にプラズマシートとしてそのガスが溜まる。この溜まったガスが、一気に地球の大気(酸素原子などの粒子)に向かって衝突してくると、オーロラが発生するということになる。このとき、非常に強力な電力が発生するので、オーロラが強く出る時は短波通信や国防レーダー網などに重大な障害をもたらす。このように地球の磁力が深く関係している。

◉ LOCATION

 オーロラは北国で見るイメージが強いが、実は北で見えているときに同時間帯に南極側でも発生している。(右図は南極光のみ)南極光についてはキャプテンクックがインド洋南部を航海中に南でもオーロラが発生していることを発見し、その後アラスカ大学地球物理学研究所が、飛行機を二機、北と南の対称点に飛ばし、そこへ到達したときに両方のオーロラの状態を記録してこれを証明している。ちなみに南極光のこのクックの発見は18世紀後半ということになるが、ここまで遅れたのも、南極側のオーロラベルトにヒトが生活していないためだろう。
 高度については発生している色においても異なるが、地上約100kmから500kmの高さで発生。低い位置だと大気濃度が濃いためたくさんの電子が粒子に衝突できるので明るいオーロラが、高い位置だと粒子濃度が薄いのでうっすらとしたオーロラがでる。

◉ COLOR

 オーロラには大きく赤緑青の三種類の色がある。ここで虹について考えると、虹は七色ある。どうしてだろう。オーロラの色について文献を読んでいるときに、ふと疑問に思ったことである。太陽の影響でいろんな色を生じるという点ではオーロラも七色に見えてもいいように思える。しかし、虹とオーロラには根本的な違いがある。虹は、太陽の光が水滴に反射して、その連続的な屈折した光を僕らは見ているということ。そしてそれは7色ではなく、連続した波長なので無限色あることになる。これに対してオーロラは、太陽から来た電子が地球にある限られた原子にぶつかって、色が反射ではなく発生しているということ。現に、太陽風の電子と地球にある窒素原子が衝突すると青いオーロラ、酸素原子が衝突すると緑色のオーロラと赤いオーロラが発生するという。先述したが、高度が低いと大気の濃度が高いので、そこにプラズマガスが注いだなら強く光る。一般的に、緑白色で見られるオーロラの頻度が一番高いと言われている。つまり、虹は光の科学、オーロラは分子の化学といえる。

 以上のように、オーロラは奇跡ではなく物理的に頻繁に地球上で発生している。そして、赤く濃いオーロラは非常に稀で、これを見れたら運がいいと言えそうである。このような真理を理解することは非常に面白い。これを機に時間を見つけてより深くオーロラについて知りたいと思うようになった。また、このように仕組みを論理的に理解し享楽できるのは人間だけの特権だが、動物たちはもっと違う領域の現象を知覚しているのかもしれない。ヒトが見るオーロラや風景よりももっと壮麗なものを見ているのではないかと思うとうらやましくも思う。




"それはつまりわれわれが世界に於いて覚知し、領解するものは、万象の中のほんの一端であって、われわれの目の前にあらわれ、又われわれの感覚と魂とに印し得るだけのものに過ぎないのです。しかし、其の余のものは無限の茫漠の中に沈潜しています。そしてわれわれの極く近くでさえも、無数のものがわれわれには匿されています。われわれが其れを捉え得るように組織されて居ないのです"
       —オーギュスト・ロダン(ロダンの言葉 訳:高村光太郎)

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

エコ月間も今月いっぱいで終了になります。
内容はエコに関する内容のポップをいっぱい作って張り出したり、グラスカップを一日2個以上使わない活動呼びかけたり。
MYはしMYスプーン持って来た人は50円割引とかですかね~
環境問題とかいろいろ調べてて勉強になってます。
今日ニュースで北極圏の水準が5度上昇しているとゆうのを見ました。島がだんだん沈んでいきますね。
お店で呼びかけしているものの、やっぱりお客様はお金をはらってるのにそれはないなどの意見も結構あります。。
直接自分達に影響がない限り、他人事のようにしか思えないのでしょうね。
もし地球上の人類が絶滅したらってゆうシュミレーションもみました。
人間が滅びたあとの地球は、緑いっぱいになって動物たちがのびのびと走り回ってるとゆう穏やかな風景でした。まるで人間はいらないんだって言われてるような気持ちになりました。。

つな27

匿名 さんのコメント...

>>つな27

エコ活動報告ありがとうございます。浸透させることが一番難しい企画のうちの一つなのだと思います。
 環境問題は本当に深刻ですよね。個人の一生に大きな影響を与えるのではなくて、もっと大きな視点で捉えたときに甚大な影響をもたらすんだということがヒト独りを行動に移させることができない原因なんじゃないかと考えてます。これはやっぱりいずれ国から強制がかかると思われます。

 ちなみに北極の氷が全部溶けても海面は上昇しないって知ってましたー?実は気温の上昇による水の物質としての膨張と、南極大陸に乗っかってる氷が溶けて海に流れ出ることが、地球の海面上昇の主な原因なんです。研究記事で読んだことは無いけど、たぶんこれに月の引力による潮の満ち引きが二乗倍的な効果をもたらすんじゃないかと想定してます。

島田浩二>>