2011年6月16日木曜日

アラスカの動物の適正露出

撮影するにあたり撮影対象の適正露出(proper exposure)をあらかじめ考えておくことは事前準備のうちに入る。

適正露出とは撮影対象が写真になったときに、見た目に近い、明るすぎず暗すぎない、あるいは白すぎず黒すぎないように、自分でカメラをコントロールして撮ること。あくまでも正解はなく、自分の考える最適な明るさや色を出せる値が、適正露出の値になる。

カメラのメーターが算出する値から、自分の予測する値に調整すること、これを露出補正(exposure compensation)と言う。特にアラスカの動物では慎重に補正する量を考えなければならない。基本的にドールシープやシロイワヤギでは対象が真っ白なので露出は少し+側に補正し、黒めの体をしているグリズリーやクロクマでは、逆にマイナス側に補正する。動物への光のあたり具合によっても変る。また、動物がファインダー内を占める割合によっても値が変るので注意していなければならない。(測光方式についての説明は省略)

以上のような動物種では急な動きをすることがほとんどないので、露出の補正ダイヤルをまわす調節だけでほとんど済ますことができる。

しかし、対象が黒と白の個体、ハクトウワシやシャチ、氷塊の上にいるアザラシなどはこの適正露出を得るのが難しい。
具体的な例でハクトウワシを挙げると、

まず、飛んでいるハクトウワシがぶれないようにシャッター速度を優先して考える。このときは1/500くらいと予想する。カメラをマニュアル露出モードにして、シャッター速度を固定(1/500)、近くにある灰色の岩にカメラを向け、スポット測光で露出を得る。このときはf/6.3。


※これはカメラのレンズによってもフィルム感度(ISO)によっても大きく変わる。


こうして露出がf/6.3の1/500、ISO800で決まり、あとは焦点を対象に合わせて撮影していく。

これはハクトウワシの頭の白い部分と体の黒い部分の中間の値なので、これをしておくことの利点は背景が海や森や空に変ろうとも対象は同じ露出で撮れるということ。要するに、ワシへあたる光が変らない限り、ハクトウワシがどこへ飛んでいってもそのまま撮っていればいい。この設定をしておかないでただカメラまかせにしておくと、ハクトウワシが森の前を飛んだときは急に画像は白く霧がかったようになり、ハクトウワシがぶれて白い頭は真っ白になる。明るい雪景色が背景になった場合は、逆にハクトウワシは真っ黒になり、ワシのシルエットだけが画像として残る。

以上が、被写体を中心に撮影するときのカメラ設定の方法。これは背景を入れた一枚絵を考えるときは別の設定方法になる。

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