2013年1月10日木曜日

シャープネスについて


シャープネスとは、画像の輪郭の鋭さのことで、撮影プロセスで必ず意識する必要がある。画像あるいは作品のシャープネスを見て、画像の質を判断することにもなるので、とても重要な要素だ。

シャープネス検証のためのサンプル写真
対象のシカにピントを合わせ、アンシャープマスクをかけた画像



とくに野生動物写真においては、対象動物の近い方の目にピントを合せるのが基本である。このときシャープネスがゆるいと、なんとも間の抜けた写真になってしまう。
また、シャープネスは、デジタル現像の段階で、修正が利かない。ピントが合い、シャープな画像を得られていれば、表現によってシャープネスを緩め、ソフトなイメージに仕上げることは可能だが、ボケた画像をシャープにするには限度があり、現像時に過度に補正すると、画像が劣化する。これはいくら画質の高いRAW画像で撮影しても同じことである。そのため、シャープネスは、撮影の段階で決めることが、最高の画質を得るための条件である。

このシャープネスを、最高の質で得るためには、目標物に正確にピントを合わせることが必要になる。そのためのセッティングをいかに挙げてみると、

1.レンズの絞りを開放(あるいは最小絞り)から2段ずらして撮る。
2.できるだけ低いISO感度で撮影する。
3.シャッタースピードが十分でないなら、三脚を使う。
4.手ぶれ防止機能(VR, ISなど)を使う。

レンズは、たいていのものが、開放から2段ずらした絞り値がいちばんシャープになるという構造になっているそうである。本当にそうなのか、自分の持っているレンズで試したが、確かに「2段ほど」ずらした絞り値が、最高のシャープネスを得る。以下の写真が検証したときの写真だが、いちばん左上の拡大画像(絞り開放F2.8)よりも、F4、 F4
よりも F5.6 の方がシャープだった。F5.6 と F8 では、ほとんど違いが見られなかった。この辺りはレンズによって差があるのだと思う。


絞りの違いによる、シャープネスの精度
次に、ISO感度に関して、絞りの差ほど違いは見られないものの、ISO200 と ISO800 では、ISO200のほうが、シャープな画像が得られた。(Nikon D300 のボディー)これは、ISO感度を上げると、なぜ画像を早くカメラに取り込むことができるのか、ということを理解していれば、シャープネスについてISOの影響も理解できる。簡単にいえば、感度を上げるということは、実際の光をすべてデータにするのではなく、カメラが予測して、色と光をある程度決めて画像にしているのである。ISOの数字を上げると、カメラが演算で決める部分を増やすから、少しの光でも早いシャッタースピードを使えるということだ。この割合が大きくなれば(ISO感度が大きくなれば)、本当の画像からどんどんかけ離れていくのは理解できる。結果、感度を上げると、光の強さや色、シャープネス等が影響を受け、荒い画像になり、シャープネスの精度も落ちる。

三脚はできれば使うという発想ではなく、正確に言えば、レンズの長さとシャッタースピードから、自分が手ぶれを起こす値を検証して、その値にあわせて三脚の使用を決めることが、最も合理的だと思う。動物撮影において、三脚を使わなくてもシャープに撮れるなら、使わない方がずっと機動性が高く、チャンスを逃さない。ちなみに僕の場合は、300mmの長さの時、手持ちで1/200だと、すこしブレが確認できるので、それよりも早い1/250の値を得られないときには、三脚を使う。(それにしても対象が野生動物で、とっさのチャンスの時には、このようなことはしてられないので、状況に合わせて事前にセッティングをして決めてかかる。具体的な話になると、大変長くなるので、ここでは言及しない。)とにかく、自分の手持ち限界というものは、知っておく必要がある。この検証をする時は、カメラについているモニターではなく、できるだけパソコンの画面で、画像を100%にして確認するのが良い。

手ぶれ防止機能は、基本的に使った方がシャープな画像が得られるのだが、2、3注意が必要である。この機能を使うことで、まずオートフォーカスが少し遅れる。シャッターラグも大きくなっているような気がする。また、三脚使用時には、ほとんど意味がないので、きっておいた方がいい。ただ、三脚使用時でも、たとえば600mmのレンズでシャッタースピードが1/125以下になうような状況では、この機能無しではブレが出てくる。ここでも各自検証するのが良い方法だと思う。いずれにしても、手ぶれ防止という利点を使う場合、副作用があることを気にしておいた方がいい。

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