2012年1月24日火曜日

写真集の研究(情報収集)

アラスカの自然をテーマとした代表的写真集5冊

※推定制作期間はアラスカへの撮影行の歴であって、各写真集のために費やした時間とは限らない。


アートウルフのアラスカ
ALASKA 2000年出版(推定制作期間:25年間)

  内容を山、湖といった自然の地形で分けている。
  特徴はアラスカの動物と風景など、自然を総括した構成になっていること。
  文章はアラスカを代表するライター(ニックジャン)にゆだねている。
  160ページ(文章は写真鑑賞に邪魔にならないよう配慮された構成)
  写真はリズム感と躍動感のある写真が多い。



星野道夫のアラスカ
ALASKA 極北・生命の地図 1990年出版(推定制作期間:14年間)

  内容
  特徴はカリブーやグリズリーなどの生態が中心
  文章は、生命や自然の深遠さを伝えるエッセイ調。
  90ページ



マチアスブレイターのアラスカ
WILD ALASKA  2007年出版(2007年出版(推定制作期間:20年間)

  内容を極北、南東アラスカといったアラスカの地域で分けている。
  特徴は写真の中に小さな写真を挿入して、場所の雰囲気を伝える。
  文章はアラスカの情報を詳細に取り入れた解説調。
  250ページ(各ページがランダム構成。キャプションと本文が入り交じる。)
  写真は404枚使用されていて、半分が説明カットや連写カット



田中光常のアラスカ
世界動物記 アラスカ編 1971年出版(推定制作期間:2年間)

  内容を動物の種で分けている。
  特徴は報道性を重視した、アラスカの動物の紹介に重点を置いている。
  文章は、撮影行日記でノンフィクション調。
  200ページ(前半は写真のみ、後半は文章のみの構成)
  写真はそれぞれ図鑑的な撮影方法で動物にのみ焦点を当てている。



マイケルミルフォードのアラスカ(一部に焦点を当てたもの)
Hidden Alaska –Bristol Bay and Beyond 2011年出版(推定制作期間:不明)
 
  内容を自分のテーマで分けている。
  特徴は、タイトルを「隠されたアラスカ」として、新たな視点を読者に与えるよう配慮している。
  文章はテーマについて、アラスカの隠された部分に新たな見方を与えるもの。
160ページ(写真に対してある程度の文章の文章を添える)



オーロラ



オーロラの不思議さは、やはり動くこと。それも天体と違って不規則だということ。一度として同じ写真になったことはないし、同じ形を見たことがない。一時的に強くなったり弱まったりもする。毎日見えるわけではないことから、その希少さも不思議だという感覚を引き立ててくれる。夜に現れるから、というより夜にしか「見る」ことができないから、恐怖に近い感覚になることもある。
でもいちばんいいのは、こうして写真にすることではなく、肉眼でそれを見るということに尽きる。

2012年1月14日土曜日

時間

今年で30になることを考えた。

単純計算で仮に、60歳までの自分が自由にもつ時間を計算するとこうなる。

のこりの30年間=睡眠時間(10年)+食事など生活で必要な行動時間(5年)+人のために費やす時間(10年)+自分の自由時間(5年)

なにか成し遂げたいことがある場合、残された時間を計算するとき、それが自由である場合と、そうでない場合とで考え方は変わる。自由である場合は、自分のもっている時間が長くなる。

もし、この「自分の時間」の5年間(43,800時間)に、一日をむだに過ごすようなことがあれば、次々に成すべきことから遠ざかる。

また、この自由時間にも、成すためにしなければいけないこと、たとえばお金を稼ぐことがあって、これがすべて自分の自由時間に直結するわけではない。

概算すると約25,000時間が、自分の本当の自由に当てられる時間になる。

これが一生であることを思うと、どれほど短いか。


この考えに非難はあるだろうけれど、何かをしようと人生を自分で動かしている人にだけはわかる。

しかし、慌てたところで何かが変わるわけではなく、狼狽はこの貴重な時間の浪費につながる。とにかく点で過ぎゆく現在を、自分の意志をめぐらせて行動するのみ、というのが新年の抱負になる。

2011年11月27日日曜日

マイケルクイントン写真研究 -part 5-



マイケルクイントンはナショナルジオグラフィックの契約カメラマン。24のとき、より動物写真をとるチャンスを増やすために、アイダホ州からアラスカ州へと移住したという。

左の写真はマイケルの初期の頃の仕事で、ハシボソキツツキ(Northern Flicher)の飛行をとらえた写真である。ナショナルジオグラフィックから選出される写真すべてに言えることだが、この写真のすごさは、動物自然写真の、基本的な追求すべき要素である、Sense of Wonder (驚異の感覚)を確実にとらえていること。見事にこの鳥の、普段見られない内側の羽を暴露している。

マイケルクイントンはまず間違いなく、この飛行の写真をリモコンかセンサーで撮影している。この撮影場所は、自宅のすぐそばであるという記述があるので、この鳥の行動を予測した上でセッティングしたことは間違いない。彼の中には、すでに出来上がりの構図があり、何を表現するかを見越した上で撮影を実行した。

ナショジオに掲載された、バリエーションカットはこちら


ハシボソキツツキの外見は左の写真のように、地味だ。
動物写真をとらえる上で、ひとつテーマとなるものに、「既成概念を覆す」というのがある。これを示すことで、対象のキャラクターの新しい局面を伝え、人のその動物への見方を変える。

2011年11月23日水曜日

記事から抜粋

 Having something to say
何かいいたいことを加えるということ —クリス・ウェストン
Magazine text is on the bottom of this article.
(以下、日本語翻訳文)


プロでやっている人の話を聞くと、'making images' イメージをつくる、という言葉をよく耳にする。「イメージをつくる」ということと、'taking images'「イメージを撮る」ということの違いは、たった一語の違い以上に大きなちがいがある。そして、このイメージをつくるというアプローチこそが、トップの写真家とその他大勢を区別することになる。まず、何かいいたいことをもつ写真家、ということを頭に入れておこう。


わたしが野生動物の撮影をはじめたのは、動物の行動に魅かれたからだ。私は、なぜ自然のなかの摂理はそのような仕組みをとるのか、という疑問を抱いた。よく思ったことは、「なぜシマウマは、黄色い草原に覆われたサバンナのなかで、シロクロの縞模様なのか」という疑問である。その答えを学ぶとすぐに、わたしはそれを視覚で伝えるためにカメラをもちいた。これは、わたしが写真で何を「言いたい」のか、というきまった考えを頭にいれて、撮影対象にアプローチしたことを意味する。そして、この目的のために、わたしは自分の、自由に使える機材と、画面構成の技術をつかった。カメラを持つずっと前から、このイメージに対するながいキャプションを書いていた。まず、座ってキャプションを取りあげ、どのようにこのキャプションに合ったイメージをつくることができるだろうかと考えるのである。わたしはいまだにこの方法をつかう。たとえば、わたしがフィールドにいたとして、シャッターを押す前に、主題に直面してまよっていたら、「このショットにはどのようなキャプションをつけることができるだろうか?」と考える。動物の種の名前しか思い浮かばなかったら、よりよいシャッターチャンスを待つ。


何をいいたいのかということを知ることは、結局自分の主題を理解することになる。野生動物について学べば学ぶほど、よりアイデアをもてるようになるのだ。わたしはこの知恵をフィールドワーク、本、ドキュメンタリーなどから得るようにしている。主題のことについて知ることは、野生動物写真だけにあてはまるものではない。どのジャンルにおいてもトップの写真家は、対象についての親密な知識を備えている。
(雑誌、Outdoor PHOTOGRAPHY 2010年10月号より)



2011年11月19日土曜日

動物写真家、浅尾省五さん

先週、動物写真家の浅尾省五さんに会った。

浅尾さんは、日本の自然写真の歴史でいえば、第三世代にあたる方。岩合光昭さん、今森光彦さんや、星野道夫さんと同じ世代にあたる。また、浅尾さんは日本の動物写真の本流を築いた、田中光常さんの弟子を経験されている。浅尾さんは70年代に上京されてから、仕事上で田中光常さんと知り合い、2年間、彼のもとでアシスタントを務められた。その後は、交代で星野さんがアシスタントについている。星野さんの次の、前川貴行さんをふくめた3名ともが、同じことを述べていることは参考になる。

「田中光常さんのもとで働いた2年間は、ほとんど写真を撮ることができなかった。しかし、動物写真家がどういうものかを学んだ」


有楽町で浅尾さんと待ち合わせをしてカフェに入った。

現在浅尾さんは、一年の半分を海外での撮影に費やし、50代後半にして現役で世界を飛び回っている。しかし、このように写真の仕事だけでやって行けるようになったのは、10年前の2000年頃からとのこと。動物写真家の内山晟さんもおっしゃって「写真でやっていくのが、どれほど大変か」

浅尾さんは、田中光常さんのアシスタントを務められた後の20代後半から、アフリカで2年間写真を撮り続けるも、独立して継続していくことが大変で、その後は一般企業に就職し、二足のわらじで続ける道を選んだという。

「とにかく、継続して撮影できなくなったら終わり。」
確信した表情で語る。


浅尾さんからのアドバイスとしては、

「誰もやっていないことをやること」
「対象となる動物がいるところへ、できることなら住むこと」
「なにはともあれ、写真で勝負すること」

他にもホームページや雑誌の投稿についてもお話をもらったが、原田純夫さんのアドバイスと、かなり近い意見が多かったということも、とても参考になった。


浅尾さんとは今後、仕事を一緒にやれる機会をつくれるよう進めている。

2011年10月25日火曜日

レンズレンタル


いままでレンズをレンタルして撮影行へ出かけるという考えが頭になかった。対象の動物が捕れるか撮れないかがわからない場合は、まず現場に下見をしにいき、撮影できることが確実になって来たら、レンズをレンタルして出かける、という考えが浮かんだ。
現在僕の持っている望遠はNikonの80−400mmで、ボディの画像素子がAPS-Cなので最長600mmで撮影を続けて来たことになる。しかし、この望遠レンズはインナーフォーカスではなく、開放もF5.6と暗い。

日本にもたくさんのレンタルショップがあり、相場は米国と同じくらい。
レンタルを考えたときにたとえば70ー200mm(F2.8)であれば1泊2日で5200円
実際の値段が18万円くらいするので4、5回のレンタルは十分価値があると思う。

現在考えているのは実売価格50万円くらいする単焦点の300mm(AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II米国の有名なサイト(下図)で見積もると、実使用日数4日で送料込み2万円くらい。どうしてもこのレンズでなければだめな対象がある。これを4、5回の撮影で試してみたい。