2008年11月7日金曜日

ありじごく


母親が日記を送ってくれた。僕が書いた、小学四年の頃のもので、中には理解不能の文章もたくさんあったが、その頃の僕の考えが記されていた。1992年6月、ちょうどこの月は、映画「Into The Wild」(2007)の主人公クリストファーが実際にフェアバンクスの大地で孤独で厳しい生活を送っていた月である。その遥か南西で、僕は平和にもありじごくについての日記を書いていた。日記、といっても詩のように短いが、ちょっと面白かったので書き写してみた。

ありじごく

きょう、ありじごくを、見つけました。
そこは、なんと、ぼくの、家の、ガレージの、下にありました。
そして、大っきいのと、小ーさいのと、5つぐらいできていました。
ありじごくのすは、ありがはいってしまうと、すべってでられなくなるようになっています。
でも、ありじごくの小ーさいのは、ありを、入れても、出てしまいます。大っきいのは、入れたら、ありじごくにすわれてしまいます。
すわれるというのは、血かなにかを、すっているとおもいます。
なぜかというと、いつもありを入れたら、はらのふくらんでいるところだけ、すなにうまって、50秒ぐらいで、ありじごくが、「ポンッ」と、ありを、すてます。そのありはもう死んでいます。
そのありはかわいそうだな、と思ったんだけど、ずっと見ているとたのしいです。
もっと大きくなって、ウスバカゲロウという虫になってほしいです。


ま、この文章が小学四年生としてどうなのかは不明だが、なかなかいい観察の仕方をしているなと感じた。今の自分からすれば、もっと深く突っ込んだ内容がほしかった。ともあれ、いちおう論理展開もしてるので良いということにしておこう。また、不思議なことに、この観察をしたことの記憶は、この日記を読むことではっきりと甦ってきた。ありじごくが住み着いたのにも訳があった。三島の実家のガレージはカーポートがあるために梅雨でも雨が注ぐことが無く、芝生の枯れた部分が夏に亜熱帯砂漠と同じ環境になる特殊な部分だ。こういった特殊な乾燥した砂地に住み着くありじごくが、木造建築し始める時代以前の日本にもいたのだろうか。森やちょっとした洞窟のようなところを見つけられるにしても、ウスバカゲロウにとってありじごくとして生活する幼虫期が梅雨と重なってしまっては住みにくいはずだ。

ところで、ありじごくを実際に見たことがある人はいまどれくらいいるんだろう。この昆虫は普通に生活していたら見ることはできない。成虫になって飛べるようになったウスバカゲロウだってそんなに見れるものじゃない。実家に帰った時にはまた見つけて観察してみたいと思う。

秀逸な研究を見つけたので興味のある方は→こちら 小学生でこれだけの研究ができるのか・・・。今の子供はすごいのかも。

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