2012年12月17日月曜日

NDI - part 1 - RAW画像からモニターへ


第一回:RAW画像からモニターへ

イメージマネジメントシステム(IMS)構築の前の基本知識として、写真の質を保つためのNDI (Non-Destructive Imaging) という画像編集の概念を理解しておく必要がある。これを理解しておくと、デジタル暗室におけるデータと色の編集をムダなく正確に行うことができ、カラーマネジメントの理解にもつながる。

今回は、カメラLCDやパソコンモニターなどで表示される色の違いをもとに、RAWデータについての理解へつなげる。



写真の「色」に注意を向けはじめると、撮影後すぐにデジタルカメラのモニターで確認した写真の雰囲気と、家に帰ってパソコンで見たときの写真の雰囲気に違いを感じる人は少なくないと思う。



この雰囲気の違いの根本的な理由は、カメラに内蔵されているRAWデータコンバーター*と、パソコンで表示するときに使われているソフトウェアのRAWデータコンバーターが異なることによる。すなわち、カメラのモニターとパソコンでは、組み込まれている「色」を翻訳するプログラムが違うのである。そのため、違って見えるだけではなく、実際色が違うのだ。

RAWデータコンバーターとは・・・撮影されたデジタル色データを読み取り、ディスプレイに表示される色彩を調整するプログラムが組み込まれた変換装置のこと。

これを知っているだけでも、屋外で撮影しながら色を作り上げようとは思わなくなるはずだ。かならずデジタル暗室での色の調整となる。現状、カメラ内蔵のコンバーターでは、RAWデータのディベロップ段階で、モニターに表示される色と異なる。調整されたモニターがない屋外において、カメラのLCDでの色見チェックは、カラーマネジメントシステム(CMS)の過程に組み込めないものと考えておいた方がいい。

そうなれば、屋外で撮影しているときは、できる限り広い範囲の色をカメラのデータとしてとらえておく(創造可能性を広げる)ことが、後で自分の写真に作り上げていくための最善策だと言える。


上記内容の理解をより深めるために、RAWデータのつくりを考えてみる。

RAWデータは、①RGBデータ ②メタデータ ③JPEGプレビューの3ファイルからなる
RAWデータはフィルムカメラで言う、現像前の露光されたネガやポジと同じと認識している方は多いだろう。そのため、このデータを一枚の画像として考えていた方は少なくないのではなかろうか。しかし、上図の通り、RAWデータは3つのファイルから成り立っている。本来RAW画像は、モザイク状のRGBの各データが織り込まれたもの(上図:Mosaiced Raw Image)なので、画像として肉眼で見るわけにはいかないデータなのだが、RAWデータコンバーターにより、一時的なJPEGデータ(上図:JPEG Preview)を作り出し、モニターでディスプレイ表示できるようにしているのである。下図参照。ちなみに、この過程で、データを何かに表示することを「レンダリング」という。

モザイク状のデータ → RAWファイルコンバーター → 表示されたイメージ

カメラのLCDモニターやパソコンのモニターに写し出されるイメージは、
RAWファイルコンバーターが一時的に色を作り、目に見えるようにしている。

したがって、カメラやパソコンのモニターに写し出されているRAW画像の色は、目で見て画像を認識するだけの写真だと考えておいた方が良い。そのあと、ソフトウェアによって、自分の作品としての色に現像していくのである。

これで、RAWデータがどのような仕組みで表示されているのかが理解できたと思う。それでは、RAWデータの3つのファイルのうち、もうひとつのファイルである、メタデータ (Metadata) ファイルとは何か。実はこのメタデータという情報が、オリジナル画像(source file)を傷つけることなく写真の質を保つ編集を可能にしたNDIの核の概念である。これについて、次項で説明したいと思う。







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