2013年10月3日木曜日

プリンス・ウェールズ島での日記 9


6月30日 
島に入って10日目

 今日は昨日見つけたランデブーサイトから陸側、つまり山の方へ調べを進めた。プリンスウィリアム森林マップによると、このランデブーサイトは原生林内、しかもクローズドキャノピー(樹冠が覆われて空が見えず、直射日光も注がない森林帯)にある。ここから北側の川沿いのエリアと、すこしseral forest (まだ原生林までに遷移していない森)をはさんで西側の原生林がある。

 この夏の時期はオグロジカは、大きく分けて2つのグループに分かれる。決して彼らは群れるわけではないが、標高の高いところへ移動するタイプと、標高が低いが水源に近いエリアを徘徊するタイプとがある。

 今日歩いたエリアは、標高で言うと湖が2mのところから、250mほどの、この辺り一帯ではかなりの勾配のある斜面のところを登った。けもの道を調べてみると、ほとんどがオグロジカのもので、オオカミの足跡やサインは特に見つからなかった。夕暮れにもう一カ所、湖の対岸を調べてみよう。


 これは僕の予想にすぎないが、このHonker Divide の群れは、かなり極端に水源を好むのではないかと思った。それというのも、ランデブーサイトは湖岸にあり、23日にもこの北の川沿いに休憩する場所があったからだ。遠吠えを聞いたときも湖からさほど離れていないところだった。これらのことが、感覚的に僕には、湖岸にすむオオカミ群と思えてならなかった。今日山側から調べを進めたのも、これを確かめるためであり、山側にはオオカミの痕跡は一切見られなかった。夕暮れに歩いた湖岸沿いには、ランデブーサイトから200m、400mあたりにWolf kill (オオカミに仕留められ、食べられたシカなどの獲物の残骸)が見つかり、この考えを一層強くした。明日に向かうランデブーサイト北側の川沿い周辺で、よりアクティブなサインが見つかることを期待する。







0 件のコメント: