2013年10月16日水曜日

動物撮影時の被写界深度(DOF)についてのメモ


 動物撮影において、被写界深度の予測は必要な技術となる。

 屋外で、たとえばヘラジカを撮影するとき、ニコンD300(APS-C)、400mmのレンズを使用時、ヘラジカは約10メートルの距離にいると仮定する。f5.6, 400mm で撮影する際に、果たして被写界深度は何センチメートルになるか。そして、なぜこんなことを計算する必要があるのか。


上の条件でピントが合う広さは、たったの14センチメートル

 上の条件で得られる値は、14センチメートル。従って、f5.6では、目にピントを合わせたときに、ヘラジカの顔がややカメラの方を向いているだけで、ヘラジカの鼻はピントから外れる。鼻先がピントから外れたヘラジカのポートレートの写真は、きれいには描写されない。ハイレベルでの写真の仕上がりを意識する場合、絶対にさけて通れないのが、この被写界深度の正確な予測である。

 上の条件のとき、計算をしていなければ、鼻にピントが合っていないとは気づかず、撮り直すということをおそらくしない。現像する段階で気がつくという結果になる。ある程度の数値が頭に入っていれば、20メートルの位置までヘラジカから離れて、55センチメートルの被写界深度を得るか。ただし、言うまでもないが、画面内のヘラジカの顔が占める割合は4分の1になる。実際的な場合は、このとき、15メートルくらいの位置まで離れて、f8にすると、44センチメートルの被写界深度を得られるので、そうすることになるだろう。ただし、このとき注意することは、被写界深度の幅の手前から三分の一のところにフォーカスが合うということ。すなわち、44センチメートルの被写界深度のとき、手前から14.5センチメートルのところがピントを実際に合わせるフォーカスポイントとなる。大人のヘラジカの目と鼻の距離は、だいたい35センチメートルなので、鼻から15センチメートルほど離れたところにピントを合わせる必要があるということ。これで、この被写界深度の手前15センチほどにある鼻先と、後方30センチメートル以内にある目にもピントが合うということ。


 ちなみに10メートルの距離にまで近づける動物は、ヘラジカのほか、ドールシープやシロイワヤギなどの偶蹄類で、この被写界深度は特に、動物に近づくときに注意を要する。そして、近づいて撮るというときは、たいていポートレート写真だろう。

その他、例えばニコンD300、300mmのレンズで20メートルの近さ、f2.8で撮影するときは、被写界深度は、50センチメートルを確保できるので、顔全体に加えて、角があればそれもフォーカスに入れることができる、という計算ができる。



この被写界深度は、自分で計算しようとすると大変なので、こちらのサイトが活用できる。http://www.dofmaster.com/dofjs.html


自分のカメラボディと、使うレンズの長さ(Focal length)と、絞り値(Selected f-stop)それと被写体とカメラの距離(Subject distance)を入力すれば、被写界深度は自動的に算出される。



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