2013年10月18日金曜日

国際オオカミ会議


 オオカミが日本にいないために、日本では記事にもされないことかもしれない。日本は自国にないもので、関わりが今までほとんどない場合、そのことには関心を示さないという国柄で、他の国に比べてこの特性は特に強いと思う。

Duluth, Minnesota


2013年10月10日から4日間、ミネソタ州ダラスで国際オオカミ会議が開かれた。
僕は最後の一日だけ参加をした。

 オオカミがいまでも日本にいたなら、その日本のオオカミ研究者も日本と海外に当然いるわけで、この動物は間違いなく日本の生態系に重要な役割を果たし続けていたことだろう。もしそうであったなら、今回の国際オオカミ会議で、日本の研究者や組織団体が参加し、もっと日本でも盛り上がったことと思う。ぼくはこの現状を、過ぎ去ったこととして捉えてはいない。


 今回の国際オオカミ会議で、専門家たちが特に注目していたのは、ヨーロッパのオオカミ事情についてだったように思う。そのほか、参加者はやはり米国の方それも中西部から来ている人たちが多かったためか、アイルロイヤル島のオオカミと、ミネソタとウィスコンシンのオオカミをテーマにしたプレゼンに、人々は多く集まっていた。

    最後のIUCNのオオカミ専門家たちの会議を傍聴したが、メキシコでのオオカミ再導入問題よりも、ヨーロッパでのオオカミ管理についての方策を練ることの方が、委員たちの関心を示していたということは、僕にとっては意外だった。これにはもちろん様々な見方がある。メキシコは隣国で、IUCNの方針さえ定まっていれば、具体的にアメリカとメキシコだけで話し合っていけばよいわけで、比較的そういった時間は他で取れる。しかし、今回ほどの大きな国際会議は4年に一度も開かれないので、ヨーロッパの専門家たちと、アメリカ、メキシコを含めた直接の話し合いでは、どうしてもヨーロッパの問題に偏ってしまうのも無理はないかもしれない。

 しかし、ひとつの絶滅した種を補うために、ふたたび近い種を生態系に導入するというテーマよりも、隣り合う国同士がオオカミをどのように、統一した意志を持って管理していくか、というテーマの方が重要視されていたという事実を鑑みると、IUCNという大きな組織自体が、まだ未熟な機関であるというイメージが強かった。

 いずれにせよ、今回の参加は僕にとって非常に有意義だった。オオカミ研究の最高権力者であるデビッド・メッチとルイージ・ボイターニも間近で話を聞くことができた。直接話がしたかったが、実際に彼らの様子と話を聞いていて、僕が話をできる状況にないことはすぐにわかった。かれら研究者を見ることで、オオカミの現状が少しつかめるというのは、すごいことだと思う。今回の参加で、世界のオオカミ事情が漠然と把握することができた。この感覚は、次回プリンスウェールズ島でレイモンドと話をするときにも、必ず持っていなければならない感覚である。










0 件のコメント: